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猫カフェ経営者になるには?開業の手続きから必要な資格までを解説

猫カフェ経営者

かわいい猫と触れ合いながら飲食を楽しめることで人気のある猫カフェ。「自分でお店を開いて猫カフェ経営者になりたい」と考える愛猫家もいるのではないでしょうか。

しかし、猫カフェの開業は、自分で一からお店を開くための準備をする必要があり、ハードルが高いと感じている人も多いでしょう。

この記事では、猫カフェ開業の流れを解説します。

猫カフェ経営者に必要な資格や開業に必要な手続きも紹介しますので、猫カフェ経営に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

猫カフェと通常のカフェの違いとは?

猫カフェと通常のカフェの違いとは?

猫カフェとは、店内に放し飼いで飼育されている猫との触れ合いを目的とした施設です。来店客は猫と遊んだり、触れ合ったりしながらカフェのフードやドリンクを楽しめます。

一般的なカフェと違う点は、猫との触れ合いがメインであることです。猫カフェでは、提供する飲食物が焼き菓子やペットボトル飲料など簡易的な場合が多くあります。

環境省が公表したデータによると、猫カフェの店舗数は、2005年時点では3店舗だったものの、2015年には約300店舗に急増しています。約10年で店舗数が急増したことから、猫カフェの需要の高さがうかがえます。

参考:環境省

猫カフェの主な仕事内容

猫カフェでは、猫のお世話とカフェ業務を同時におこなうのが特徴です。猫カフェの主な仕事内容を「猫のお世話」と「カフェ業務」に分けてみていきましょう。

猫のお世話 カフェ業務
  • 給餌
  • 水の交換
  • 猫用トイレの掃除
  • ブラッシング・爪切り
  • 猫の食事量や排泄時間などの記録
  • 猫同士のケンカの仲裁
  • 飲食物のオーダー
  • キッチンでの調理
  • 会計
  • 来店客への説明
  • 店内の清掃
  • SNSでの宣伝
  • 売上管理・帳簿付け
  • スタッフの管理

保護猫カフェとして運営している場合は、店内で飼育している保護猫の里親探しもおこなう必要があります。また、売上やスタッフの管理は、経営者ならではの仕事といえるでしょう。

猫カフェ経営者に必要な資格とは?

猫カフェ経営者に必要な資格とは?

猫カフェを開業するためには、以下のような資格が必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者
  • 動物取扱責任者
  • 愛玩動物看護師

愛玩動物看護師は必須の資格ではないものの、猫カフェの業務に役立ち、動物取扱責任者の要件を満たせるため、取得をおすすめしたい資格です。

それぞれの資格について詳しく解説します。

食品衛生責任者

飲食物を提供・販売する場合、食品衛生責任者を1名配置する必要があります。

食品衛生責任者の資格を取得する際には、各都道府県の食品衛生協会が主催している養成講習会を受講します。講習会を受講後に自治会の保健所に資格を申請し、自治会からの任命通知が届くと資格の取得が完了します。

ただし、猫カフェで既製品の飲食物だけを提供する場合は、食品衛生責任者は不要です。

防火管理者

収容人数が30人を超える猫カフェを開業する場合、防火管理者を1名配置しなければなりません。

日本防火・防災協会が開催している講習を受講すると、防火管理者の資格を取得できます。講習は店舗の延べ面積や使用用途、収容人数によって「甲種新規講習」と「乙種講習」の2種類に分かれています。どちらの講習を受講すればよいかわからない場合は、管轄の消防本部や消防署で確認しておきましょう。

甲種新規講習では、約10時間の講習を2日間にわけて実施します。受講料は8,000円です。一方、乙種講習は、約5時間の講習を1日で実施します。受講料は7,000円です。

参考:一般財団法人 日本防火・防災協会

猫カフェはスペースを複数人で共有するため、収容人数が把握しにくいのが特徴です。そのため、座席数が30席未満でも、防火管理者の資格取得をおすすめします。

動物取扱責任者

猫カフェを開業する際には、動物取扱責任者を1名配置し、「第一種動物取扱業」として自治体に届け出が必要です。

動物取扱責任者になるためには、以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。

  • 獣医師免許を取得していること
  • 愛玩動物看護師免許を取得していること
  • 半年間以上の実務経験または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験 + 教育機関での1年間以上の学習
  • 半年間以上の実務経験または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験 + 試験による知識・技術の証明

獣医師と愛玩動物看護師は国家資格です。取得するには、大学や専門学校で指定科目の履修が必要です。

愛玩動物看護師

愛玩動物看護師は、動物の診察補助や負傷した動物の世話などをおこなえる知識があることを証明する国家資格です。愛玩動物看護師の免許を取得すると、猫カフェの業務に役立つだけでなく、動物取扱責任者の要件を満たすこともできます。

愛玩動物看護師の資格取得については、以下の記事で詳しく解説しています。愛玩動物看護師について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:国家資格「愛玩動物看護師」とは?なる方法や仕事内容について徹底解説

資格取得には専門学校への進学がおすすめ

愛玩動物看護師の資格を取得するには、農林水産大臣及び環境大臣が指定する科目を修了する必要があります。そのため、これまで動物看護師の仕事をしたことがない人は、独学での資格取得はできません。

これから愛玩動物看護師の資格取得を目指している人には、TCA東京ECO動物海洋専門学校への進学がおすすめです。

TCA東京ECO動物海洋専門学校の「愛玩動物看護師&高度医療専攻」と「動物看護師専攻」では、愛玩動物看護師の資格取得に向けての知識やスキルが学べます。国試対策アプリの提供や模擬試験の実施など、国家試験に向けた手厚いサポートが充実しているため、安心して試験に臨める環境が整っています。

猫カフェ開業の流れ

猫カフェ開業の流れ

猫カフェを開業するまでの流れは、以下のとおりです。

  • 事業計画書の作成
  • 物件探し
  • 開業資金の準備
  • 環境整備
  • 猫の手配・宣伝

それぞれの項目について詳しくみていきましょう。

事業計画書の作成

事業計画書は、開業資金の融資を申請する際に金融機関に提出する書類です。経営理念や事業の目的、資金計画などを記載します。

事業計画書を作成するうえで大切なことは、猫カフェのコンセプトを決めることです。たとえば、足の短い猫種と触れ合えるカフェや保護猫の里親探しを目的としたカフェなど、独自のコンセプトを設計しましょう。

コンセプトが定まると、猫の手配方法や内装デザインなどが決まるため、事業計画書も作成しやすくなります。

物件探し

次に、猫カフェを経営できる物件を探しましょう。

猫カフェを経営できる物件は、一般的なカフェよりも候補が少ない傾向があります。物件探しの際には以下のポイントは必ず押さえましょう。

  • 動物の飼育が可能
  • 飲食店としての基準を満たす
  • 空調設備の設置が可能

まず、物件がペットの飼育を許可しているかオーナーに確認します。猫カフェとして営業するための許認可が取得できるかも重要です。

猫カフェは飲食店営業許可が必要なため、厨房設備や換気システムが基準を満たしているかを確認します。特に、洗い場が2つ以上必要になる場合があるため、これに対応できるかチェックしましょう。

猫を複数飼育するためには、空調管理が不可欠です。快適な環境を維持するために、物件が空調設備の設置に対応しているか確認をします。

さらに、物件の広さや立地、衛生管理や防音対策なども合わせて検討し、猫とお客様双方が快適に過ごせる場所を選ぶことが重要です。

開業資金の準備

猫カフェを開業する際には、できるだけ自己資金で開業するのが理想的です。しかし、物件を借りたり、内装工事をしたりとさまざまな場面でお金が必要になるため、場合によっては開業資金を自己資金でまかないきれない可能性もあるでしょう。

猫カフェの開業資金の相場は、400万〜1,000万円とされています。自己資金での開業が難しい場合は、金融機関からの融資を受ける、または補助金・助成金の活用を検討してみてください。

環境整備

物件が決まり次第、猫たちが安全に暮らせるように内装工事をおこないましょう。

一般的な物件を利用する場合、内装工事をしないと猫が脱走したりケガをしたりする危険性があります。そのため、玄関を2重扉にしたり、電気コードにカバーをつけたりなどの対策が必要です。

また、換気のための空調整備や、お客さん用の手洗い場の設置など猫カフェならではの工事も必須です。猫もお客さんも快適に過ごせるような空間づくりを目指しましょう。

猫の手配・宣伝

猫カフェの内装工事が終わり、物件の準備が整ったら、猫カフェで飼育する猫を手配します。猫の手配方法の一例は、以下のとおりです。

  • 自身が飼育している猫の活用
  • 保護猫の譲渡
  • ペットショップでの購入
  • ブリーダーからの購入

また、SNSやチラシなどで開店前から積極的に宣伝することも大切です。

猫カフェ開業に必要な手続き

猫カフェ開業に必要な手続き

カフェ開業に必要な手続きは、以下のとおりです。

  • 第一種動物取扱業の申請
  • 飲食店営業許可の申請
  • 開業届の提出

開業の手続きで特に注意したいことは、申請のタイミングです。オープン直前に申請すると、手間やコストが倍以上かかる可能性があります。各手続きは、余裕を持って取り組んでおきましょう。

第一種動物取扱業の申請

営利目的の猫カフェを開業する際には、各自治体に「第一種動物取扱業」を申請します。第一種動物取扱業の申請には、動物取扱責任者の選任が必要です。

地域によって異なりますが、申請には約1万~1万5,000円の費用がかかります。

自治体に申請すると、後日担当者による施設検査が入ります。猫の飼育スペースの広さや必要な備品などの確認がおこなわれ、問題がなければ登録証が交付されます。

自治体に申請してから登録までに2週間程度かかります。店舗となる物件を確保し、内装設備がある程度整った段階での申請手続きがおすすめです。

飲食店営業許可の申請

猫カフェで飲食物を調理・提供する場合は、保健所に「飲食店営業許可」を申請しなければなりません。

申請には、5,000~2万円ほどかかります。

保健所に申請すると、店舗に検査が入ります。検査に合格すると許可証が交付されます。

申請から許可証の交付までは、2~3週間必要です。そのため、飲食店営業許可も第一種動物取扱業と同様に内装設備が整ったら申請手続きをしておきましょう。

また、猫カフェで提供する飲食物によって、ほかの手続きが必要だったり、申請が不要だったりする場合があります。まずは保健所に店舗の平面図を持参し、相談することをおすすめします。

開業届の提出

個人事業主として猫カフェを開業する場合には、税務署へ開業届の提出が必要です。

開業届は、開業してから原則1ヵ月以内の提出が定められています。

開業届の提出に費用はかかりません。必要事項を記入するだけなので、比較的簡単に提出可能です。施設検査もないため、開業すると決めたら早めに提出しておきましょう。

猫カフェ経営についてよくある質問

猫カフェ経営についてよくある質問

ここからは、猫カフェ経営者になりたいと考えている人によくある疑問を紹介します。

  • 猫カフェ経営者に向いている人は?
  • 猫カフェ経営者の年収は?
  • 営業時間に決まりはある?

それぞれの回答をみていきましょう。

猫カフェ経営者に向いている人は?

猫カフェ経営者に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 猫が好きな人
  • 人と話すのが好きな人
  • リーダーシップがある人
  • きれい好きな人
  • コツコツと努力できる人

猫カフェは、お客さんに猫の紹介をしたり、店のルールを伝えたりと人と話す機会の多い仕事です。そのため、コミュニケーションをとることが苦にならない人が向いているでしょう。

また、猫カフェ経営者になると、お客さんのニーズや流行に合わせて飲食メニューを変更したり、イベントを開催したりする場合があります。飲食メニューの改良やイベントを成功させるためには、経営に関する知識やリサーチ力が必要です。

よりよいお店にするためにコツコツと学び続けられる人は、猫カフェ経営者に向いています。

猫カフェ経営者の年収は?

猫カフェ経営者の年収は、店舗の規模やスタッフの有無などによって大きく異なります。

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が公表したデータによると、スタッフ2名を雇用する場合を想定した猫カフェの年間の営業利益は、86万円という結果が出ています。

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構

一般的なカフェとは異なり、猫カフェでは猫のフード代や病院代などの飼育費用がかかるため、年収は低くなると考えられます。サービスに工夫を凝らしたり、多店舗経営を視野に入れたりすると年収アップも期待できるでしょう。

営業時間に決まりはある?

猫カフェでは動物愛護法が適用されるため、営業時間は原則20時までと定められています。

ただし、以下の条件を全て満たす場合は、22時までの営業が可能になります。

  • 対象の猫が1歳以上である
  • 猫の1日の労働時間は12時間以内
  • 接客フロアから休憩フロアまで猫が自由に行き来できる
  • 猫は店舗内を自由に移動できる
  • 11歳以上の猫には定期検診を受けさせている

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構

まとめ:猫カフェ経営者に必要な資格は専門学校で取得しよう

まとめ:猫カフェ経営者に必要な資格は専門学校で取得しよう

猫カフェ経営者になるには、動物取扱責任者の資格を取得する必要があります。愛玩動物看護師は、猫のお世話に役立つ知識が身に付くだけでなく、動物取扱責任者の要件を満たせるためおすすめの資格です。

TCA東京ECO動物海洋専門学校では、「愛玩動物看護師&高度医療専攻」と「動物看護師専攻」で愛玩動物看護師の資格を取得できます。国家試験に向けたサポートも充実しており、試験まで安心して勉強に励める環境です。

また、卒業生のなかには、猫の遊び場を開業されていたり、動物病院内でおこなっている保護猫カフェ運営などの実績があります。

TCA東京ECO動物海洋専門学校は、無料の資料請求オープンキャンパスなども実施しています。気になる人は、ぜひお問い合わせください。

TCA東京ECO動物海洋専門学校で愛玩動物看護師の資格を取得し、猫カフェ経営者を目指しましょう。

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