太古の大陸で生きていたのは、私たち人間より遥かに大きな体を持つ恐竜たち。長い年月、地層のなかで眠っていた恐竜たちは、化石に姿を変えて私たちの前に蘇りつつあります。
「恐竜の化石ってどんなものがあるの?」
「発掘した化石からどんなことが分かるの?」
恐竜博物館や展示会などで恐竜の化石を見て興味を持ったけれど、化石を発掘した先に何があるのか気になる人もいるでしょう。
本記事では、校内に恐竜の化石発掘調査室が設けられているTCA東京ECO動物海洋専門学校が、200年の間に見つかった化石の種類や化石から分かる生態などを説明します。
恐竜の化石発掘に興味がある人や、展示されている化石について詳しい知識を得たい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
化石から得られる情報の多さにびっくりして、ますます恐竜への興味が湧いてくるでしょう。
記事の概要
恐竜の化石が世界で初めて発見されたのは1822年
恐竜の化石が世界で初めて発見されたのは、1822年にイギリスのギデオン・マンテルが発見した「イグアノドンの歯」です。
ですが、私たちの想像を超える大きさの動物が存在したことを科学的に証明できなかったため、当初は誰も取り合うものはいませんでした。
しかし、その後に「メガロサウルスの歯」を発見したウィリアム・バックランドが1824年に論文で大型動物(恐竜)の存在を報告し、科学的な証明を行ったことで転機が訪れました。
結果として、ギデオン・マンテルが発見した化石は1825年に草食恐竜「イグアノドンの歯」として認められ、世界で初めて恐竜の化石を発見した人として広く知れ渡っています。
「恐竜」と言う動物の名前は、イグアノドンの歯が認められたときには存在していませんでした。
イグアノドンの歯の化石が見つかってから、恐竜という名称が生まれるまでに発見された化石は3種類。「イグアノドン」「メガロサウルス」「ヒラエオサウルス」です。
化石を調べていくうちに、ほかの動物とは異なる特徴を持っていることが分かった生物学者のリチャード・オーウェンは1841年に「恐ろしいトカゲ」を意味する「ダイノサウリア(=恐竜)」と名付けました。
その後、恐竜という名前が広く知れ渡ったのです。
恐竜の化石は何種類発見されているの?発見された部位は?
恐竜の化石が初めて発見されてから200年経過していくなかで、特に気になるのは、以下の2点でしょう。
- 恐竜の化石の種類
- 発見された化石の部位
1つずつ説明していきます。
恐竜の化石の種類
恐竜の化石は2022年までの間に、属名で数えると1,000種類ほどが発見されています。
属名とは、私たちの氏名(名字・名前)にたとえると名字にあたる部分。恐竜で言うと「ティラノサウルス・レックス」の「ティラノサウルス」の部分です。
属名で数えた場合「サウルス」の部分(=種小名)が違っていても、発見数は増えません。
また、新たに発掘した化石を研究した結果、すでに学名がついている恐竜と同じ属名だった場合も、あとから決めた学名は使用できなくなります。
なぜなら、動物の名前付けルールにより、初めて付けた学名が優先されるからです。
たとえば、1879年に発見されたブロントサウルスは、研究の結果、アパトサウルスと同じ属性と判明しました。そのため、ブロントサウルスは、先に発見されていたアパトサウルスに学名を変えています。
ただし、恐竜を分ける基準は研究者により異なるため、上記の分け方が正解と言うわけではありません。
そのため、公開されている化石の発見数は多少異なる場合もあります。
発見された化石の部位
恐竜の化石は博物館で展示されているように、腕や背骨など全身の骨が各地で発見されています。
2022年までの200年の間に発掘されている恐竜の化石のなかでも、特に珍しいものを以下に3つ紹介します。
- 長さ1m超えの足跡
- 酢漬け状態の脳
- 卵のなかの赤ちゃん
2016年に、岡山理科大学とモンゴル科学アカデミー古生物地質学研究所の共同調査隊が見つけたのは、1mを超える竜脚類の足跡です。
爪痕までしっかりと残る状態で発見された足跡の化石は珍しく、保存状態も良好でした。
また、2017年には、別の調査隊が1.7mを超える足跡も発見しています。
2016年にケンブリッジ大学の研究所チームが発見したのは、腐敗が進むのが早くて化石化が難しい恐竜の脳でした。水辺で死亡した恐竜は「酸素の少ない水の中で酢漬け状態になり、脳の保存状態が良かったのではないか」と言われています。
2021年に中国南部・江西省で発見された恐竜の卵の化石は、孵化直前の鳥にそっくりと分かりました。
鳥は「恐竜が進化した現代の生き残り」とも言われているため、進化の過程を紐解く手がかりになるかもしれません。
恐竜の化石は全身の骨だけでなく、足跡や卵など多くの種類が発掘されています。化石の種類が多ければ多いほど研究材料は増えるため、進化の過程が分かるようになります。
参考:岡山理科大学 長さ 106cm 世界最大級の恐竜足跡化石を発掘、産経新聞社 恐竜の脳の化石、「酢漬け」になって初めて発見 「驚くべきこと」とケンブリッジ大研究チーム、読売新聞オンライン 卵の中の赤ちゃん、孵化直前の鳥にそっくり…進化の謎解明につながる化石
化石からわかる恐竜の生態
化石は、恐竜の生態を明らかにする道しるべです。
たとえば、足跡の化石1つだけでも多くのことが分かります。
足跡の化石が複数見つかれば歩幅が分かり、歩いたり走ったりする速度も調べられます。また、足跡の深さをチェックできれば体重の推測も可能です。
さらに、足の大きさが分かればおおよその体格も推測できるようになります。
2022年2月、福井県勝山市の化石発掘調査で、縦58cm、横32cmの恐竜の足跡の化石が発見されました。
複数見つかった化石を調査したところ、巨大な草食恐竜と判明。歩幅80cm、時速1.4km〜2.3kmで歩く「ブラキオサウルス」や「フクイティタン」などの四足歩行の草食恐竜と予測が付けられています。
米国医師会雑誌で公開されているデータを確認すると、発見された化石の恐竜は人間の平均速度2.9km〜3.6kmよりゆっくりした速度で歩いていたことが分かります。
化石からは、恐竜の体の色も調べられます。
私たちが見聞きしている恐竜の色は、想像で描かれているものが多いのが現状です。
ですが、皮膚の化石から色を判別する石化したメラノソームが見つかれば、恐竜の体の色を調べることも可能です。
脳の化石からは、恐竜の頭脳を予測できます。
たとえば、トロオドン類は「世界で一番賢い恐竜」と言われています。
なぜなら、体重と脳の重さを比例すると、ほかの恐竜の3倍の脳を持っていることが化石から判明したからです。
ほかにも、化石を見れば恐竜同士が争っていた種族を推測できるほど研究は盛んです。
植物や魚などを食べる雑食恐竜デイノケイルスは、肉食恐竜タルボサウルスの捕食対象だったと考えられています。なぜなら、デイノケイルスの肋骨の化石から、タルボサウルスの噛みあとが見つかっているからです。
植物をすりつぶして食べていた恐竜の歯からは、歯が生え変わる「デンタルバッテリー機能」を持っていたことがわかりました。
デンタルバッテリー機能とは、歯が前後に何層にも重なり、外側の歯がすり減って摩耗すると順番に内側の歯に置き換わる構造のことです。
上記は恐竜のごく一部で、ほかにも多くの生態が分かっています。
恐竜博物館で2007年に発掘された新種「フクイベナートル」の化石を2022年2月にCTスキャンしたところ、鳥類に近いテリジノサウルス類に分類されることが分かりました。
化石を調べる技術が発達していくと新しい発見が得られ、恐竜の体格や生活、進化の過程など、未知の部分が分かるようになります。
参考:NHK 勝山市の発掘調査で国内で2例目の大型恐竜の足跡化石など発見、岐阜新聞Web 歩行速度と寿命、NHK フクイベナートル 鳥類に近い「テリジノサウルス類」と判明
恐竜の化石が発掘される国はどこ?日本でもできる?
2億5000万年前〜2億年前、1つだった世界の大陸は徐々に分裂し、同じ時代に繁栄していた恐竜は世界に散らばりました。そのため、恐竜の化石は世界中で発見されています。
なかでも、特に化石の発見率が高いのは、以下の4つの国です。
- カナダ
- アルゼンチン
- 中国
- モンゴル
カナダの世界遺産「州立恐竜公園」は恐竜が繁栄していた白亜紀の地層があるため、多くの化石が発掘されています。
また、恐竜の町「チョコン」があるアルゼンチンには、世界最大級の採掘地があり、多数の化石が発見されています。
中国は羽毛恐竜やアジア最大級のチュアンジエサウルスの化石など、新しい発見が相次ぎ、有名になりました。
恐竜の卵や珍しい子供の化石などが見つかっているモンゴルでは、盛んだった盗掘や違法売買の取り締まりを強化するため、法改正も行われています。
恐竜の化石が見つかっているのは、海外だけではありません。
日本では、以下の地域で化石が発掘されています。
- 北海道
- 岩手県
- 福島県
- 群馬県
- 富山県
- 石川県
- 福井県
- 岐阜県
- 三重県
- 兵庫県
- 福岡県
- 長崎県
- 熊本県
なかでも有名なのは、北海道むかわ町で発見された「むかわ竜」や福井で発見された「フクイラプトル」、丹波市で発見された「丹波竜」などです。
化石は、ジュラ紀から白亜紀に積み重なった地層で発掘されています。また、陸に近い場所に積み重なった地層から見つかることも多いのが特徴です。
日本で恐竜の化石を発掘したい場合は、全国で組まれている発掘体験イベントに参加してみるとよいでしょう。雑誌で企画が組まれていたり、博物館などで発掘体験を行っていたりする場合があります。
恐竜の化石は初心者でも発掘できる?
恐竜の化石を発掘できる施設やイベントは全国に多くあり、初心者でも参加しやすいのが特徴です。
化石を区別するには石の断面をじっくり観察するところから始めます。断面に黒色や茶色の部分があれば、植物や貝殻、恐竜の化石の可能性があります。
恐竜の化石は平均すると10日に1種類のペースで発掘されていますが、場所や発掘者の観察眼によっては、なかなか見つからない場合もあります。
ですが、初めて参加した人が恐竜の化石を発掘したニュースが取り上げられることもあるため、初心者でも発掘できることは証明されています。
参考:HONDA どこまでわかってきている?「恐竜」の最新のふしぎとナゾ
恐竜の化石について学ぶなら専門学校がおすすめ
TCA東京ECO動物海洋専門学校は、恐竜関連の知識や技術などが学べる初の専門学校です。
4年制の「博物館・恐竜自然史専攻」では、恐竜学や地質学、化石のクリーニング作業など、基礎知識から将来使える技術まで総合的に学べます。
本校では現地で分けてもらった岩手県久慈市の土を使い、発掘調査室で化石発掘の訓練を行っています。
久慈市は2016年以降に同市内で4種類以上の恐竜の化石が発掘され、うち3種類は国内で初めての新種が発見された土地です。
TCA東京ECO動物海洋専門学校では、恐竜の化石が多く発掘されている土地の土を使って発掘訓練が行えるため、知識や技術が身につきやすく、見つける楽しさも体験できます。
また、2021年3月に早稲田大学と久慈琥珀博物館の共同調査に参加させていただいた際、本校の学生がアジア初となる「リカルドエステシア・ギルモレイ」の化石の1つを発見しています。
校内外で実習を積み重ねられるTCA東京ECO動物海洋専門学校は、恐竜の基礎知識から実践で使える技術まで、トータルして学べる日本初の専門学校です。
参考:朝日新聞 白亜紀後期の恐竜の化石、続々発見 岩手・久慈 国内初
まとめ:知識や技術を身につけて恐竜の化石発掘に貢献しよう
TCA東京ECO動物海洋専門学校は、恐竜の知識や技術が学べる「博物館・恐竜自然史専攻」が、日本で初めて新設された専門学校です。
初めての取り組みを行う学校で学ぶのは、不安に感じることもあるでしょう。
ですが、本校は校内実習で経験を積んだ結果が校外の化石発掘で実績として出ているため、安心して学べる環境とわかります。
「恐竜の化石に興味が湧いてきた」「化石に携わる仕事がしたい」など恐竜関連で気になることがあれば、ぜひ無料の資料請求をしてみてください。
資料をチェックして聞きたいことが出てきたら、体験入学や学校説明会などに参加すると、疑問の解決に役立ちます。
恐竜のノウハウが学べる専門学校で知識や技術を身につけ、恐竜の化石発掘に貢献しよう。