アクティブレンジャーとは、自然や野生生物などを守るレンジャーの補佐役をいいます。
「自然に関わる仕事がしたい」
「野生生物を保護したい」
自然や野生生物の生態系を守るアクティブレンジャーに興味があるけれど、必要な資格や勉強方法、詳しい仕事内容などが分からない人もいるでしょう。
この記事では、アクティブレンジャーの就職実績があるTCA東京ECO動物海洋専門学校が、アクティブレンジャーになるのに必要な資格や年収、仕事内容、将来性などを説明します。
就職までに取得しておきたい資格や今から勉強しておくとよい知識もあるため、アクティブレンジャーに興味がある人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
記事の概要
アクティブレンジャーとは
アクティブレンジャーとは、多忙なレンジャーに変わって国立公園のパトロールや利用状況のチェック、利用者指導などを行う仕事です。
ほかにも、設備点検、登山道の巡視、野生生物の保護、清掃作業、外来種の駆除、学校の自然体験など、主に施設外で行う作業を担っています。
アクティブレンジャーが補佐を務めるレンジャーは、1953年、日本の自然を守っていくため国立公園に12名配置されたのが始まりです。
当時の日本の国立公園は17ヶ所、野生生物保護センターは0ヶ所でした。
その後、2006年時点で日本の国立公園は30ヶ所、あらたに野生生物保護センターが5ヶ所設立され、自然や野生生物を保護する機関は35ヶ所に増えています。
※2021年のデータから算出
参考:環境省 野生生物保護センターの紹介
参考:環境省 国立公園一覧
毎年、数人のレンジャーが採用されているとはいえ、1ヶ所に1人~2人だけの配置では自然や野生生物の保護はままなりません。手を付けられないことも出てくるでしょう。
そこで発足されたのが、アクティブレンジャーです。
アクティブレンジャーは、富士山のゴミ問題を発端に、レンジャーを補佐する仕事として2006年に小池百合子都知事が立ち上げた職業です。
各施設の利用者や企画参加者が、自然の大切さを知ったり楽しんだりできるよう補佐しています。
アクティブレンジャーになるには資格は必要?レンジャーとの違いは?
アクティブレンジャー | レンジャー | |
資格(国家公務員) | 不要 | 必要 |
仕事内容 | レンジャーの補佐 ※パトロール・利用者指導など |
会議・許認可指導など |
雇用形態 | 非正規職員 | 正規職員 |
年齢制限 | なし | あり |
アクティブレンジャーとレンジャーには、上記の表のように明確な違いがあります。
アクティブレンジャーに特別な資格は不要ですが、環境保護や野生生物などについて参加者に分かりやすく説明できる知識や話術が必要です。
アクティブレンジャーが持っているとよい資格や知識は、以下です。
- 普通自動車免許(AT限定可)
- Word、Excel、PowerPoint、画像編集の知識
- 英語力
- 登山技術、経験
アクティブレンジャーの求人条件に、必ずと言っていいほど載っている普通自動車免許。
AT限定でも問題ないため、就職するまでに取得しておくとよいでしょう。
資料作成に必要な、パソコン操作の知識も必要です。海外の人とコミュニケーションが取れるため、英語が話せるのもメリットになります。
ほかには、国立公園の仕事の1つに、登山道を案内する業務も含まれている場合があります。
山岳地帯では登山技術や経験があると優遇されやすくなるため、就職する地域によっては習得しておくとよいです。
アクティブレンジャーには必須の資格は必要ありません。持っているとよい資格や知識はあります。必要に応じて習得しておくとよいでしょう。
アクティブレンジャーの仕事内容は?レンジャーの補佐ってどんな仕事?
アクティブレンジャーは多忙なレンジャーの補佐として、以下の仕事を中心に行います。
- 鳥獣の保護、輸送
- 世界自然遺産登録に関する業務の補助
- 行事の企画、実施、資料作成
- 野生生物保護センター内の案内、解説業務、展示物の維持管理
- 担当地区の巡視、調査、保全活動、利用者指導
ほかにも、登山やトレッキング(山歩き)に同行し、自然の魅力や楽しさを伝えるなど、さまざまな仕事をこなしています。
アクティブレンジャーは地域ごとに自然を保護する課題が異なります。
そのため、勤務地により多少仕事内容は変化しますが、自然保護を観点とした業務には変わりありません。
国立公園の自然を守るため、外来植物の除去、清掃活動、植物の開花状況の調査なども行います。
アクティブレンジャーだけで手が足りないときは、ボランティアを募集して一緒に活動することもあります。 多くの人が自然や環境保全に興味を持ってもらえるよう、自然の魅力を伝えたり体験したりできるよう手助けするのが、アクティブレンジャーの仕事です。
アクティブレンジャーになる方法
アクティブレンジャーになるには、動植物の知識が必要不可欠です。
知識や技術を習得するには、以下の学校に通うのがおすすめです。
- 専門学校に通う
- 大学に通う
順番に説明していきます。
専門学校に通う
アクティブレンジャーになる場合、自然や動植物について詳しい知識や技術が学べる専門学校がおすすめです。
授業で学んだことを活かして、生物分類技能検定や鳥獣管理士の資格も取得できる学校もあります。
就職後、早い段階から即戦力になれる知識や技術をより多く学べるため、アクティブレンジャーになるには専門学校がおすすめです。
特に、TCA東京ECO動物海洋専門学校「ECO自然環境クリエーター専攻」では、野生生物の生態調査や保護活動、自然公園のガイドなどを、実際にフィールドで体験できます。
本校は全国7,500ヶ所以上の施設と提携しているため、校外学習やインターンシップなどで、より実践的な経験が積めます。
参考:教育システム 校外実習
動物行動学や動物の取り扱い方法など、専攻以外の授業も選択できるWメジャーカリキュラムもあり、学びの場が多いのが特徴です。
大学に通う
大学に通う場合は、畜産科や生物環境科など、自然や生物に関係する学部がある大学がおすすめです。
4年制の大学では、知識を勉強する座学が大半を占めています。
インターンシップや野外学習も行われていますが、就職後、即戦力になれるほどの実技の習得は難しい面もあるでしょう。
ですが、勉強したい分野が定まってきたら専門の研究室に入り、知識や技術を深めることはできます。
専門学校ほど設備や環境、多彩な講師人からの指導などは得られませんが、研究を重ねてじっくり将来を見据えたい場合は大学に通うのもよいでしょう。
大学と専門学校でお悩みの方はこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:大学と専門学校どっちがいいの?
アクティブレンジャーにやりがいはある?
アクティブレンジャーのやりがいは、手をかけて作業したことが成果として実感できたときです。
たとえば、国立公園にはその地域に生息しない植物が根を張ることもあります。観光者の荷物や衣服に、植物の種が付着して運ばれてくることがあるからです。
持ち込まれた種が成長すると在来植物の生態系のバランスが変化し、在来植物が育たなかったり減ったりすることもあります。
外から持ち込まれた外来植物を防除して少しずつ減っていくと、自然の生態系を守ることができた実感が得られます。
手をかけたことが成果に繋がるのを実感できたとき、アクティブレンジャーとしてのやりがいを感じます。
また、企画に参加した人から「自然の大切さを知った」「自然に興味が湧いてきた」など言われたときにも、やりがいを感じられるでしょう。
アクティブレンジャーに向いている人の特徴
アクティブレンジャーに向いている人は、以下の人です。
- 自然や動物が好きな人
- 人と接するのが好きな人
- 人の役に立てる仕事をしたいと思っている人
- 体力がある人
- 一定のコミュニケーション能力がある人
アクティブレンジャーは、自然保護や野生生物に興味を持ってもらえるよう、案内をする仕事です。
自分が自然を好きでなければ、参加者に自然のありがたみや魅力を伝えるのは難しくなります。
また、ボランティアのような仕事も多くこなすアクティブレンジャーは、損得より人の役に立ちたいと思える人のほうが楽しく仕事がこなせます。
室外で仕事をすることが多いアクティブレンジャーは、体力があり、コミュニケーションを上手に取れたり自然の魅力を伝えられたりする人が向いているでしょう。
アクティブレンジャーの就職先は?仕事内容で探すのもあり
アクティブレンジャーの就職先は、以下があります。
- 野生生物保護センター
- 自然環境事務所
- 国立公園
就職先によって、登山やトレッキング(山歩き)などを行う場合もあります。登山経験がない場合は、募集条件に該当しないこともあるので注意しましょう。
また、積雪量が多い一部の国立公園では、冬の間は登山道が利用できない場合があります。
普段行えない事務作業や春に向けての企画や行事などの準備は、登山道が閉鎖されている期間を利用して行うことが多いです。
野生生物保護センターでは、動物が事故に遭わないように対策を立てたり、地域に特化した企画や調査を行ったりします。
アクティブレンジャーは環境省の職員のため、環境省の公式サイトからも求人募集をチェックできます。
参考:環境省 採用・キャリア形成支援情報 アクティブ・レンジャー
働きたい地域重視で選ぶのも良いですが、日々の業務内容をチェックして、内容重視で働く場所を探すのもよいでしょう。
アクティブレンジャーの平均年収は?非正規職員のデメリットはある?
環境省の職員であるアクティブレンジャーの1ヶ月の平均的な給料は、15万円~21万円ほど。年収はボーナス含め、255万円~344万円ほどになります。
給料だけを見るとさほど高く感じられませんが、アクティブレンジャーはボーナスが高めに設定されています。 冬の産業別ボーナス統計を確認すると、多くても1.78ヶ月分。一般的な企業は、夏冬あわせて3.56ヶ月分ほどのボーナスが支給されます 。
アクティブレンジャーは夏冬合わせて4.4ヶ月分なので、ボーナスが高めに設定されているのがよくわかります。
就職時にあらかじめ任期が設けられているアクティブレンジャーは、非正規職員です。
1年間の契約が多いですが、活動態度が良いと継続して2回まで任期が延長できる場合があります。
任期終了後は、あらたに職を探さなくてはいけません。1つの場所にずっと留まって仕事をしていないため、昇級もありません。
ですが、アクティブレンジャー歴が長ければ就職したときの待遇が初めからよい場合もあります。
また、いろいろな場所で働けるため、知識が深まったり交友関係が広がったりします。
一見、アクティブレンジャーは非正規職員のためデメリットが大きいように感じますが、一概にそうとは言い切れません。
任期後は、交友関係を活かして自然に関わる別の仕事に就いたり、事業を展開したりする人もいるため、デメリットばかりではないでしょう。
アクティブレンジャーの将来性は?
アクティブレンジャーの将来性は、充分あるでしょう。アクティブレンジャーの仕事は、生態系を崩さないよう手助けし、日本の自然を守ること。
自然を守る仕事の1つに、絶滅危惧種3,772種を守ることも含まれています。
たとえば、アマミノクロウサギは奄美大島に生息する特別天然記念物(絶滅危惧種)です。
夜に活動するアマミノクロウサギは、自動車にはねられて怪我をしたり死亡したりするケースが多発しています。
一度絶えた絶滅危惧種は取り戻せないため、環境省は毎年夏期から秋期にかけてアマミノクロウサギ交通事故キャンペーンを実施しています。
参考: 令和2年度アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーンの実施について[沖縄奄美自然環境事務所]
自然保護や絶滅危惧種を守るアクティブレンジャーは、自然を守る仕事の1つです。
一般企業のように求人募集が豊富にあるわけではありませんが、自然の生態系を守るのに必要な職業のため、将来性は充分あると言えるでしょう。
まとめ:アクティブレンジャーは国家公務員資格不要で自然を守れる仕事の1つ
アクティブレンジャーは、自然や野生生物を守っていくためになくてはならない職業です。レンジャーだけでは、守り切れない部分を補佐するのがアクティブレンジャーの務め。
必要な資格は自動車免許のみで、ほかには、自然や動植物の知識や技術があればアクティブレンジャーとして仕事をしていけます。
本を読んで知識を得ることはできますが、技術を上げるには訓練が必要です。
TCA東京ECO動物海洋専門学校「ECO自然環境クリエーター専攻」では、自然や野生生物の知識だけでなく、学校内外の学習で専門家から指導を受けられるのも特徴の1つです。
技術を高められる機会が豊富に準備されているTCA東京ECO動物海洋専門学校では、無料で資料請求ができます。
同封されている資料には、企業プロジェクトや資格などWebサイトに公開しきれない情報も載っています。
「今ある自然を絶やさないようにしたい」「野生生物を守りたい」など、アクティブレンジャーに興味がある人は、一度資料請求をしてみてください。