ロシアンブルーが飼いにくいとされる理由は?性格や瞳の色について解説

2023.11.06

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「ロシアンブルー」という美しい毛並みの猫をご存じの人も多いでしょう。

日本でも人気が高い猫ですが、一方でその高貴な雰囲気から「飼いにくいのでは?」との懸念を抱かれることも多くあります。

この記事では、ロシアンブルーが飼いにくいとされている理由や実際の性格、成長によって変化する瞳の色についても解説します。 「ロシアンブルーについて詳しく知りたい」「ロシアンブルーを飼ってみたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてください。

ロシアンブルーとは?

ロシアンブルーとは?

「ロシアンブルー(英語表記:Russian Blue)」は、その名のとおりロシアが原産の猫です。

「ロシアの皇帝のペットだった」との言い伝えもあるほど気高い雰囲気で、アッシュブルーの被毛は動くたびに光の加減でグラデーションを描き、圧倒されるほどの美しさがあります。 また、「ボイスレスキャット」とも呼ばれ、ほとんど鳴き声をあげないのも特徴のひとつです。

美しいブルーの毛艶(けづや)とグリーンの瞳、それにあまり鳴かない落ち着いた雰囲気も「高貴」とされている理由かもしれません。

ロシアンブルーの特徴

ロシアンブルーの特徴

ロシアンブルーの特徴について、項目ごとに表にまとめました。

性格 犬のように従順で神経質
被毛 色はブルーで、短毛種のダブルコート
体高・体重 体高25~27cm、体重3~kg
平均寿命 約10〜13年

それぞれの詳細と、「ロシアンスマイル」と呼ばれるロシアンブルーの表情についても解説します。

性格

ロシアンブルーの性格は、主人に従順で忠誠心が強いです。 ただし、誰に対しても従順というわけではなく、飼い主と認めた相手にしか愛着を示さず、人見知りで神経質なところもあります。

被毛・毛色

ロシアンブルーの被毛は、毛色は名前のとおり光沢のあるアッシュブルーで、「ダブルコート」と呼ばれる、トップコートとアンダーコートの二重になっています。 非常に密生しているため、「シャンプーでも容易に地肌が濡れない」といわれます。

細くて絹糸のようになめらかな毛質で、光の加減で美しく輝くのも特徴のひとつです。

体高・体重

ロシアンブルーの体の大きさは、体高(地面から肩までの高さ)25〜27cm、体重3〜5kgで、やや小柄といえます。

平均寿命

ロシアンブルーの平均寿命は10〜13年で、一般的な猫の寿命(約15〜16年)と比べると短めです。ロシアンブルーの神経質な性格により、「ストレスを溜めやすいため」といわれています。  

参考: (動物関係者向け)ペットの終活ノート 環境省自然環境局
家庭どうぶつ白書2022|ペットの相談

表情

ロシアンブルーの特徴のひとつに、「ロシアンスマイル」といわれる表情があります。

これは、ロシアンブルーの口角がわずかに上がっていることから微笑んでいるように見えるもので、ロシアンブルーの人気を底上げする要因のひとつにもなっています。

ロシアンブルーの歴史

ロシアンブルーの歴史

ロシアンブルーは、「ロシアが原産の自然発生種」といわれ、ロシア北部のアルハンジェル(Archangel)島にいた灰色の猫が起源とする説があります。

そのため、ロシアンブルーはかつて、アルハンゲル島の名前から「アルハンゲルキャット(Archangel Cat・英語名:アークエンジェルキャット)」と呼ばれていました。

ロシアンブルーは、ロシア皇帝にペットとして飼われ、1860年代に船乗りのボートに同乗して西ヨーロッパに渡ってきたとされています。

ヨーロッパでも高い人気を博したロシアンブルーは、ビクトリア女王のお気に入りの猫になり、1875年にイギリスで開催されたキャットショーに「アークエンジェルキャット」として出場しました。

1900年代初頭にアメリカにわたり、20世紀初頭までロシアンブルーは「マルティーズキャット」として知られていましたが、第二次世界大戦で数が激減し、絶滅の危機に陥りました。

戦後、アメリカやイギリスのブリーダーがブリティッシュブルーとシャム猫を交配させ、ロシアンブルーが復活し、現在の姿になったといわれています。

ロシアンブルーは飼いにくい?「猫ではない」といわれる理由とは

ロシアンブルーは飼いにくい?「猫ではない」といわれる理由とは

ロシアンブルーは、しばしば「飼いにくい」とか「猫ではない」といわれることがあります。 ロシアンブルーについて興味がある人にとっては気になる内容ですが、その理由としては次のようなことが考えられます。

  • 犬のように飼い主に忠実
  • 従う相手を選ぶ
  • 甘えん坊で嫉妬深い
  • 運動できるスペースが必要

ひとつずつ解説します。

犬のように飼い主に忠実

ロシアンブルーが「猫ではない」といわれる理由として、犬のように飼い主に忠実である点があげられます。

一般的に、猫は自由気ままで、忠誠心を示すことはほとんどないと思われがちです。その点で、ロシアンブルーは一般的な猫の性格とは対照的といえます。

知性も高いため、飼い主の帰宅を察知して玄関で出迎える、といった一面もあります。

従う相手を選ぶ

ロシアンブルーは飼い主に従順ですが、家族の誰に対しても同じように従うとは限りません。

「兄妹の兄には懐くのに、妹の言うことは聞かない……」というように、認める相手を選り好みして懐き具合に差がでることもあります。

そのため、あまり懐かず「飼いにくい」と感じる人もいるようです。

甘えん坊で嫉妬深い

主人に忠実なロシアンブルーは、飼い主が他の猫を可愛がったり褒めたりすると、嫉妬して威嚇(いかく)したり引っ掻いたりすることがあります。

嫉妬の対象は猫だけでなく、赤ちゃんや飼い主がよく使うパソコンやティッシュ箱にも嫉妬して怒り出すケースもあるようです。

運動できるスペースが必要

ロシアンブルーには狩りの習性が強く残っているといわれ、運動量が多い猫です。

均整の取れたプロポーションで敏捷に活動し、しなやかに動きます。

遊ぶことが好きなので、運動できるスペースの確保が必要です。

ロシアンブルーの目の色は子猫から成猫への成長過程で変わる

ロシアンブルーの目の色は子猫から成猫への成長過程で変わる

成長したロシアンブルーの目の色はグリーンです。しかし、子猫のときは淡いブルーで、成長過程でグリーンに変わっていきます。

子猫のときのロシアンブルーの目の色は「キトンブルー」と呼ばれます。キトンの英語表記は「Kitten」で、意味は「子猫」です。本当に青い目をしているわけではなく、透明な瞳に光が反射して、青く見えています。

ロシアンブルーの子猫の目の色が青いのは、目の「虹彩(こうさい・角膜と水晶体の間にある薄い膜のこと)」のメラニン色素が非常に少ないからとされています。

成長するにつれメラニン色素が増えるため、キトンブルーからグリーンへと目の色が変わるのです。

目の色が変わる時期は個体によって差があり、生後2ヵ月位から変わり始めることもあれば2歳でようやく変わることもあります。

ロシアンブルーを飼うときのポイント

ロシアンブルーを飼うときのポイント

「美しいロシアンブルーを飼いたい!」という場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。 ポイントは、次の5つです。

  • プライドが高く嫉妬深い性格を理解する
  • 暑さ対策が必要
  • ダブルコートで抜け毛が多め
  • ストレスを溜めやすいので注意
  • キャットフードの選び方

順に解説します。

プライドが高く嫉妬深い性格を理解する

ロシアンブルーは「プライドが高く嫉妬深い」ということを覚えておきましょう。

賢いのでしつけはしやすいといわれていますが、「王様・女王様気質」といわれるほどプライドが高いので、叱るときは怒鳴っても逆効果です。毅然とした態度で静かにしっかり叱るようにします。

嫉妬深いので、スキンシップの時間はしっかり取りましょう。一緒に遊んであげる時間を増やすことで運動になり、肥満の防止にもなります。

暑さ対策が必要

ロシアンブルーの被毛は短毛ですが、ロシア原産で分厚いダブルコートに覆われているため、寒さには強いものの暑さには弱いです。

そのため、猫がいる部屋はエアコンを利用し、27〜28℃に設定しておきましょう。また、クールマットのようなひんやりした素材を使った猫の居場所を用意してあげるのもおすすめです。

ダブルコートで抜け毛が多め

ロシアンブルーは短毛種で、長毛種に比べると抜け毛は少ないものの、季節の変わり目の換毛期には多くの毛が抜けるのでお手入れが必要になります。

密生しているため、細身の体の割に抜け毛は多いので、換毛期はしっかりブラッシングしてあげましょう。

ストレスを溜めやすいので注意

ロシアンブルーは警戒心が強く神経質な性格のため、ストレスを溜めやすいです。

ストレスを溜めすぎると病気にもなりやすくなります。運動ができる時間やスペースを作り、トイレは清潔に保つなど、ストレスを溜めない環境づくりに努めましょう。

キャットフードの選び方

ロシアンブルーは小柄でスリムな体型のため、運動量が少ないとすぐ肥満になってしまいます。そのため、与えるキャットフードも低脂肪で体重や成長期に合ったものを選びましょう。

引き締まった美しい筋肉を維持するため、動物性タンパク質が豊富なフードを選び、たまには好物のおやつをあげるとストレスの解消になります。 ただし、おやつのあげすぎは肥満の原因になるため注意しましょう。

ロシアンブルーのお手入れ方法

ロシアンブルーのお手入れ方法

ロシアンブルーの美しい被毛や引き締まったしなやかな筋肉は、飼い主ならずっと保ってあげたくなるでしょう。そのためにおすすめのお手入れ方法は、次の2つです。

  • 週1〜2回はブラッシングをする
  • 肥満に注意する

順番に解説していきます。

週1〜2回はブラッシングをする

ロシアンブルーは短毛種のため、ブラッシングは毎日する必要はありません。しかし、美しい毛艶を保つために週1回、換毛期は週2回はブラッシングをしましょう。

毛に艶(つや)を出す目的でブラッシングをするなら、獣毛ブラシがおすすめです。

肥満に注意する

ロシアンブルーは、「平均体重が3〜5kg」といわれています。5kgを超えると肥満であるとされることも多く、細身の体型のため肥満になると足腰に負担がかかりやすくなります。

短毛でスラッとした体型であることから、飼い主が肥満に気づきにくいこともあるため、体重には常に気を配ってあげましょう。

また、体重だけでなくBCS(ボディコンディションスコア)でも肥満になっていないかがわかります。

肋骨は見えないが触れられる程度で、上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかにある程度(BCS3)が理想です。

参考:体調管理について|環境省

ロシアンブルーがかかりやすい病気

ロシアンブルーがかかりやすい病気

ロシアンブルーが気をつけておきたい、かかりやすい病気は次のとおりです。

  • 肥満症
  • 糖尿病
  • 尿路結石(尿石症)

ひとつずつ解説します。

肥満症

ロシアンブルーは遊び好きで運動量も多いことから、肥満は見逃されがちですが、飼い主のそばでのんびり過ごすのも好きなので、意外に運動不足で肥満症になってしまうケースもよく見られます。

一日に与えるキャットフードの量はきちんと計算し、与えすぎないように気をつけましょう。また、一日のなかで運動させる時間を取り、スキンシップを図ることで、肥満防止に加えてストレスの解消にもなります。

1歳の誕生日の体重がその猫の理想体重の目安となるため、参考にしてください。

糖尿病

猫の糖尿病は、血液中の「血糖」が増えすぎてしまうものです。

初期症状としては、食欲の増加や体重の減少があります。「食べる量は多いのにやせた」と感じる場合は、糖尿病の可能性があるので病院へ連れていきましょう。末期まで進行すると腎機能や肝機能に障害が現れ、さらに悪化すると命に関わることもあります。

肥満や炭水化物の多い食事のほか、ストレスが原因で糖尿病になることもあります。猫はストレスが増えると血糖値がすぐに上がってしまい、下げることが難しいため、糖尿病になりやすいようです。

尿路結石(尿石症)

尿路結石は、尿道や尿管、膀胱の中に結晶や結石ができてしまう病気です。尿の濃度が濃いとなりやすい病気で、あまり水を飲まない猫や肥満症の猫が発症しやすいといわれています。

尿道に結石が詰まって一日中オシッコが出ないと、尿毒症になって命に関わります。頻繁にトイレに行くのにオシッコがあまり出なかったり、オシッコをするのに痛がって鳴いたりする場合は尿路結石の可能性があるので、病院へ連れていきましょう。

ロシアンブルーの子猫を迎える方法

ロシアンブルーの子猫を迎える方法

ロシアンブルーの子猫を家族に迎えるには、どうしたらよいのでしょうか。 主な方法は、次の3つです。

  • ペットショップから迎える
  • ブリーダーに紹介してもらう
  • 里親になる

順番に解説します。

ペットショップから迎える

ペットショップから迎える方法です。トイレのしつけがされていたり、ワクチン接種が済んでいたりするのが利点です。

飼育方法で困ったことがあれば相談できるのもメリットでしょう。 ただし、ロシアンブルーは日本での数が少なく、ペットショップで出会うことは、他の種類に比べて難しいかもしれません。

ブリーダーに紹介してもらう

ロシアンブルーを繁殖しているブリーダーに紹介してもらう方法です。

ブリーダーは知識と経験が豊富なので相談しやすいです。また、迎えたい子猫の兄弟姉妹や両親を見せてもらえることもあります。

里親になる

里親とは保護団体や保健所からロシアンブルーを迎える方法です。

必ずロシアンブルーがいるとは限りません。しかし、ペットショップやブリーダーから迎えるよりも安価で迎えられる点、社会貢献になる点がメリットです。 ただし、飼育環境によっては断られたり、すでに持病があることもあり、その場合は病気に付き合う覚悟が必要になったりすることもあります。

ロシアンブルーの価格相場

ロシアンブルーの価格相場

猫をペットショップやブリーダーから迎える場合、年齢が若く人気の毛色ほど値段が高くなる傾向があります。

ロシアンブルーの場合、価格は2023年10月現在は10万〜30万円くらいになりますが、多い価格帯は15万〜18万円くらいと考えてよいでしょう。

ロシアンブルーのよくある質問

ロシアンブルーのよくある質問

ロシアンブルーについてよくある質問をまとめました。

  • ロシアンブルーは懐きにくい?
  • ロシアンブルーは鳴かない?

順に回答します。

ロシアンブルーは懐きにくい?

ロシアンブルーは「犬のよう」といわれるほど飼い主に従順になるので、懐きにくいということはありません。

ただし、従う人を選ぶ傾向があり、家族のなかでもすぐ懐く人と懐きにくい人がいる可能性はあります。また、神経質で臆病なので、迎えてから家に慣れるまで時間がかかることもあります。

ロシアンブルーの性格を理解し、しっかりお世話を続けることで懐いていなかった人も飼い主と認めて従うようになるので、諦めずお世話を続けてあげましょう。

ロシアンブルーは鳴かない?

ロシアンブルーはあまり鳴かない猫種として知られ、「ボイスレスキャット」とも呼ばれています。そのため、集合住宅でも飼いやすいといわれることが多いです。

しかし、もちろん鳴くときもあります。猫が鳴くときは、遊んでほしいときやお腹が空いたときなど、何か要求があることがほとんどです。また、病気やケガでつらいときも鳴くことがあります。

よく鳴くときは、原因を探り、猫の気持ちを考えて解決してあげるようにしましょう。

まとめ:ロシアンブルーの特徴を覚えておこう

まとめ:ロシアンブルーの特徴を覚えておこう

ロシアンブルーは、ロシア皇帝やビクトリア女王に愛された歴史を持ち、古くから非常に人気の高い猫種です。

引き締まった体に、美しく光沢のある被毛とグリーンの瞳で高貴な雰囲気を漂わせていますが、主人に従順で賢く、また神経質で嫉妬深いという一面もあります。

運動できるスペースを確保し、できるだけストレスを与えない生活をさせてあげて、ロシアンブルーとの幸せな毎日を楽しみましょう。



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