ペンギンの種類|全18種類の特徴や日本で見られるペンギンを解説

2024.08.28

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ペンギンは、南極をはじめとする南半球に生息する鳥類です。空を飛ぶことはできませんが、水中での生活に驚くほど適応していて、長時間潜水したり素早く泳いだりできます。世界中に生息するペンギンは現在18種類が確認されています。

他の鳥類と違ったその性質に加えて、独特な体型とよちよち歩きがかわいらしく、見る人々を魅了しています。

この記事では、ペンギンの基本情報から、全18種類のペンギンの特徴や、日本でペンギンを見られるおすすめの施設について詳しく解説します。

ペンギンの基本情報

ペンギンの基本情報

ここではペンギンの生息地や体の構造、食生活など、ペンギンの基本情報について詳しく見ていきましょう。

生息地と分布

ペンギンは主に南極大陸を中心に、南アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの南半球に広く分布しています。

各地の環境に適応した多様な種類が存在し、たとえば、寒冷地に生息するコウテイペンギンや、温暖な地域に生息するフンボルトペンギンなどがいます。また、ガラパゴスペンギンは赤道近くに生息する唯一のペンギンとして特に珍しい存在です。

体の構造と特徴

ペンギンは水中での生活に特化した体の構造を持っています。流線型の体は抵抗を減らし、ヒレ状の翼は推進力を生み出します。厚い脂肪層と防水性のある羽毛は、寒冷な環境でも体温を保つ役割を果たします。

多くの鳥類の骨は飛行に適した軽量化のため中が空洞になっています。これに対して、ペンギンの骨は密度が高くて重いです。飛ばない鳥であるペンギンに軽い骨は必要なく、水中で効率的に泳いで餌を捕るためには、むしろ重い骨のほうが浮力が抑えられ、水中での活動に有利になります。

ペンギンは優れた潜水能力を持ち、餌を追って水深100メートル以上潜ることもあります。特にコウテイペンギンは最大で500メートル以上の深さまで潜ることができ、20分以上水中にとどまることが可能です。

食生活

ペンギンの主な食事は魚、イカ、オキアミなどの海洋生物です。種類によって食性が異なり、たとえば、コウテイペンギンは主に魚を食べ、アデリーペンギンはオキアミを好みます。

ペンギンの種類|全18種の名前と特徴

ペンギンは世界中で18種類が確認されています。それぞれのペンギンの特徴や生息地を紹介します。

コウテイペンギン(エンペラーペンギン)

コウテイペンギン(エンペラーペンギン)

コウテイペンギンは最大のペンギン種で、体長は112~115cm、体重は20~40kgに達します。南極の極寒の地で繁殖し、寒冷地での特異な繁殖行動が特徴です。メスは冬季に卵を1つ産み、オスが卵を足の上に乗せて約2ヵ月間保温します。

求愛の際、オスはメスの前でおじぎをするような動作をおこない、羽を広げてアピールします。この行動は、メスに対して自分の健康状態や繁殖能力を示す重要なサインとなります。

アデリーペンギン

アデリーペンギン

アデリーペンギンは南極でよく見られるペンギンの一種で、体長は約70cm、体重は3~6kgです。群れでの生活が特徴で、尾羽が長く、黒と白のコントラストが鮮やかな外見を持ちます。夏季には南極大陸の岩場で繁殖します。 陸上では滑るように移動し、氷の上を素早く移動することがで、水中では優れた泳ぎ手として知られ、潜水深度は約180mに達することがあります。

繁殖期には、オスがメスに対して特有の鳴き声を発し、求愛行動をおこないます。巣は石を使って作り、1回の繁殖で通常2個の卵を産みます。

イワトビペンギン

イワトビペンギン

イワトビペンギンは主に南極半島やその周辺の亜南極の島々に生息しています。体長約60cm、体重は約4kgで、派手な黄色の冠羽が特徴です。

岩場での生活に適応していて、その名の通り岩の間を素早く移動する能力に優れています。この能力が生息環境での生存に役立っています。

フンボルトペンギン

フンボルトペンギン

フンボルトペンギンは、体長65~70cmの中型のペンギンで、黒い頭部と白い顔のラインが特徴的で、胸には黒い帯があります。主に南アメリカ西部のペルーからチリの沿岸部に生息しています。この種は、温暖な気候に適応していて、特に沿岸の岩場や島で繁殖します。

繁殖期には、岩の隙間や洞窟に巣を作り、通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。

マゼランペンギン

マゼランペンギン

マゼランペンギンは、南アメリカの南部に生息するペンギンの一種です。体長は約70cm、体重は約4~5kgで、中型のペンギンに分類されます。

首から胸にかけて2本の黒い帯があるのが外見上の特徴です。この帯は個体によって模様が異なり、個体識別にも利用されます。また、頭部は黒く、目の周りに白い輪があります。

繁殖期には、地面に穴を掘って巣を作り、通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも交代で世話をします。

キングペンギン(オウサマペンギン)

キングペンギン(オウサマペンギン)

キングペンギンは、コウテイペンギンに次いで大きなペンギンの一種で、体長は約90cm、体重は11~16kg程度です。鮮やかなオレンジ色の首周りと耳の後ろにある黄色い斑点が特徴的です。胸部は白く、背中は黒い羽毛で覆われています。主に南極周辺の亜南極の島々に生息しています。

繁殖期には、オスとメスがペアを形成し、通常1個の卵を産みます。オスが卵を足の上に乗せて温め、約54日間の孵化期間を経てヒナが孵ります。親ペンギンは交代でヒナの世話をし、餌を与えます。

ヒゲペンギン

ヒゲペンギン

ヒゲペンギンは、体長約70~80cmの中型のペンギンです。主に南極半島やその周辺の亜南極の島々に生息しています。特徴的なあごヒゲのような模様が名前の由来になっています。英名ではこの模様をヘルメットや帽子のあごひもに見立てて「Chinstrap(あごひも)」という名前がつけられています。

繁殖期には、岩の隙間や洞窟に巣を作り、通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。ヒゲペンギンは、繁殖期には特有の鳴き声を発し、求愛行動をおこないます。

ジェンツーペンギン

ジェンツーペンギン

ジェンツーペンギンは、体長約70~80cmの中型のペンギンで、優れた泳ぎ手として知られています。南極半島やその周辺の亜南極の島々に生息しています。オレンジ色のくちばしと、白いリボンのような模様が特徴的です。

繁殖期には、岩の隙間や洞窟に巣を作り、通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。ジェンツーペンギンは、繁殖期に特有の鳴き声を発し、求愛行動をおこないます。

コガタペンギン(フェアリーペンギン)

コガタペンギン(フェアリーペンギン)

コガタペンギンは、最小のペンギン種で、体長は約40~45cmです。主にオーストラリアとニュージーランドの沿岸地域に生息しています。青みがかった羽毛が特徴で、背中は青色、腹部は白色をしています。この独特な色合いは、海中でのカモフラージュに役立っています。

繁殖期には、オスとメスがペアを形成し、通常1~2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。繁殖地では、数十羽から数百羽のコロニー(集団繁殖地)を形成します。

ガラパゴスペンギン

ガラパゴスペンギン

ガラパゴスペンギンは、赤道付近に生息する唯一のペンギン種で、体長は約48~53cmです。ガラパゴス諸島にのみ生息する固有種であり、温暖な気候に適応した特異な生態を持っています。

頭部は黒く、胸部は白い羽毛で覆われています。体が小さく、寒冷地のペンギンに比べてより細身の体型が特徴です。

ケープペンギン

ケープペンギン

ケープペンギンは、南アフリカ沿岸に生息するペンギンの一種で、体長は約60~70cmです。胸に馬蹄形の黒い模様があり、目の周りだけ地肌がでていて、この皮膚で体温調節しています。

繁殖期は一定ではなく、海洋条件に応じて変化します。通常、1~2個の卵を産み、親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。

マカロニペンギン

マカロニペンギン

マカロニペンギンは、体長約70cmの中型のペンギンで、特徴的な黄色い冠羽が頭部にあります。この冠羽は、オスとメスを識別する際の重要な特徴です。南極半島やその周辺の亜南極の島々に生息しています。特に、サウスジョージア島やサウスサンドウィッチ諸島などで繁殖します。

繁殖期にはオスがメスに対して特有の鳴き声を発し、求愛行動をおこないます。岩場や砂浜に巣を作り、通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。大規模なコロニーを形成し、数万羽に達することもあります。

ロイヤルペンギン

ロイヤルペンギンは、体長約70~80cmの中型のペンギンです。頭部に鮮やかなオレンジ色の冠羽があり、目の周りには白い斑点があるのが特徴です。主にマクドナルド諸島やキャンベル島、アデリーランドなどの亜南極の島々に生息しています。

繁殖期には、岩の隙間や砂浜に巣を作り、通常1~2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。繁殖地では数百羽から数千羽のコロニーを形成します。

フィヨルドランドペンギン

フィヨルドランドペンギン

フィヨルドランドペンギンは、ニュージーランドの固有種で、主にニュージーランド南島のフィヨルドランド地方に生息しています。中型のペンギンで、体長は約60~70cmです。頭部に特徴的な黄色い冠羽があり、目の周りには白い線があります。

繁殖期には、天敵のいない森林の下生えや岩の隙間に巣を作る、珍しいペンギンです。通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。

スネアーズペンギン

スネアーズペンギンは、ニュージーランドの固有種で、主にスネアーズ諸島に生息しています。体長は約50~70cmの中型のペンギンです。頭部に特徴的な黄色い冠羽があり、目の周りには白い線があります。

繁殖期には、フィヨルドランドペンギンと同様に森林の下生えや岩の隙間に巣を作り、通常2個の卵を産みます。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。

キンメペンギン

キンメペンギンは、亜南極地域に生息する中型のペンギンで、体長は70cm程度です。頭部に特徴的な黄金色の冠羽があり、これが名前の由来となっています。

繁殖期には、岩の隙間や砂浜に巣を作り、通常2個の卵を産みます。多くの場合、最初に産まれた卵は放棄され、2番目の卵だけが育てられます。一夫一婦の両親が、2羽のヒナを同時には養えないことが理由とされています。親ペンギンは協力して卵を温め、ヒナが孵化したあとも育てます。

シュレーターペンギン

シュレーターペンギンはニュージーランド固有の小型ペンギンです。体長は約65~75cm。冠羽が上に向かって生えていることから別名「マユダチペンギン」ともよばれています。英名は「elect creste(立った飾り羽がある)」といい、外見が由来となっています。

1回の繁殖活動で2個の卵を産みます。キンメペンギンと同様に最初に産まれた卵は放棄され、2番目の卵だけが育てられます。

ハネジロペンギン

ハネジロペンギン

ハネジロペンギンは、体長約75〜90cmの中型のペンギンで、主に南極半島やその周辺の亜南極の島々に生息しています。コガタペンギンに外見や生態がよく似ていますが、コガタペンギンよりも大きく、フリッパー(翼)の白い縁取りの幅が広いのが特徴です。

岩穴や洞窟の奥深くに巣を作り、一度に2個の卵を生みます。

日本で見られるペンギンの種類

2024年8月現在、日本の水族館や動物園などの施設では以下の11種類のペンギンを見ることができます。それぞれの施設では、展示方法や解説にさまざまな工夫が凝らされています。

  • コウテイペンギン
  • アデリーペンギン
  • イワトビペンギン
  • フンボルトペンギン
  • マゼランペンギン
  • キングペンギン
  • ヒゲペンギン
  • ジェンツーペンギン
  • コガタペンギン
  • ケープペンギン
  • マカロニペンギン

東京近郊のペンギンスポット

東京近郊でペンギンを観察できるおすすめの施設を紹介します。

施設名 見られるペンギンの種類 特徴
すみだ水族館 マゼランペンギン 国内最大級となる屋内の巨大プールで56羽ものマゼランペンギンを飼育している。
サンシャイン水族館 ケープペンギン 「天空のペンギン」とよばれる水槽では、手を伸ばせば届きそうな距離で頭上を泳ぐペンギンたちを観察できる。
マクセル アクアパーク品川 キングペンギン・ジェンツーペンギン・イワトビペンギン・ケープペンギン 同じ水槽内で4種類のペンギンを一度に観察できる。

地方のおすすめ水族館とペンギン情報

地方でペンギンを観察できるおすすめの施設を紹介します。

施設名 見られるペンギンの種類 特徴
旭山動物園
(北海道)
キングペンギン・ジェンツーペンギン・イワトビペンギン・フンボルトペンギン 館内には、360度の視界を楽しめる水中トンネルがあり、ペンギンがまるで空を飛んでいるかのように泳ぐ様子を観察できる。
名古屋港水族館
(愛知県)
キングペンギン・ジェンツーペンギン・アデリーペンギン・ヒゲペンギン シーズンには、ペンギンが子育てする姿も観察できる。
アドベンチャーワールド・海獣館
(和歌山県)
コウテイペンギン・キングペンギン・ジェンツーペンギン・アデリーペンギン・ヒゲペンギン・イワトビペンギン・ガタペンギン アドベンチャーワールドに併設されている海獣館では、7種類のペンギン達の暮らしを間近で観察できる。
長崎ペンギン水族館
(長崎県)
コガタペンギン・ジェンツーペンギン・キングペンギン・ケープペンギン・ヒゲペンギン・フンボルトペンギン・イワトビペンギン・マカロニペンギン・マゼランペンギン 現在飼育されている170羽のうち、約7割が長崎で繁殖したペンギン。

まとめ|ペンギンの種類と特徴を知って、実際に見に行こう

まとめ|ペンギンの種類と特徴を知って、実際に見に行こう

ペンギンは、南半球にのみ生息する特異な鳥類で、現在18種類が確認されています。

日本の水族館や動物園などの施設で飼育されているのは、11種類です。これらの施設では、ペンギンの生態や行動を間近で観察できるだけでなく、飼育スタッフからの解説や特別イベントも積極的におこなわれています。

ペンギンの種類や特徴を学ぶことで、ペンギンを実際に見に行く際の楽しみが増えるでしょう。ぜひ、身近な水族館や動物園を訪れて、ペンギンの魅力を体感してみてください。



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