コアラの生態に迫る!特徴や性格、おもしろ豆知識についても紹介

2025.02.12

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ユーカリの葉をモシャモシャ食べる様子が印象的なコアラ。あののんびりした動きと抱きしめたくなるようなかわいらしさで、オーストラリアを象徴する動物といわれています。ただ、その生態や暮らしぶりは意外と知られていない部分も多いかもしれません。

本記事では、コアラが“有袋類のなかでもかなり特殊な動物”であることや、ユーカリを主食としている理由、さらには長い睡眠時間を維持する秘密などを徹底解説します。かわいらしい見た目の奥に潜む独特の生態や、絶滅危惧種として直面している問題もあわせて確認しましょう。

コアラってどんな生き物?名前の由来とか仲間の話

コアラは見た目が小さなクマのようですが、じつは「クマ目」ではなく「有袋類」に属する動物です。まずは、コアラの分類や由来について見ていきます。

コアラ科ってなに?ほかの動物とどう違う?

コアラはカンガルーやウォンバットなどと同じく、お腹の袋で子どもを育てる有袋類に含まれます。ただし、コアラは「コアラ科」という独立した科に分類される点がかなり特異です。ほかの有袋類とも一線を画す進化を遂げており、次のような特徴が挙げられます。

  • 有袋類だが主に木の上で生活している
  • 背中側が丸みを帯びた独特の姿勢で、じっとしている時間が長い

外見だけ見るとクマに近いと思われがちですが、実際にはカンガルー科やフクロギツネ科とも別系統。英語で「Koala Bear」と呼ばれてきた名残があるものの、厳密にはクマの仲間ではありません。

どうしてユーカリが主食なの?

コアラといえばユーカリの葉、というイメージが定着しています。しかし、ユーカリには動物にとって有毒な成分が多いもの。どうしてコアラはそんな危険な葉を主食に選んだのでしょうか。

ユーカリの毒を分解する不思議なメカニズム

コアラがユーカリを食べる最大の理由は、体内の解毒能力にあります。多くの動物はユーカリに含まれるフェノール類などの有毒成分に耐えられません。ですがコアラは肝臓の酵素と特別な腸内細菌によって、これらを分解できます。

この仕組みにより、ほかの動物が利用できないユーカリの葉を独占できるという強みを手にしているのです。

コアラがあまり動かないのはエネルギーの節約のため

ただユーカリの葉は消化にエネルギーを要します。そこで、コアラは余計な活動を控えてなるべくエネルギーを使わないようにすることで、獲得した栄養を最大限活かす戦略をとっているのです。

  • 栄養吸収がスムーズでないなら、動かなければいい
  • 解毒作業や消化にリソースを使うため、アクティブに行動する余裕が少ない

結果として、のんびりと休息をとる姿が日常風景になったわけです。

コアラといえば「一日中眠っている」イメージをもつ人も多いと思いますが、実際1日の半分以上(18〜22時間)を休んでいることが知られています。

水分も葉っぱから取ってるってウワサは?

コアラには、先住民族アボリジニの言葉で「水を飲まない動物」という意味をもつ説があります(諸説あり)。たしかに、ユーカリの葉に含まれる水分が十分であれば、自分から水場に行く必要はほとんどありません。

コアラはユーカリの葉から必要な水分量の大部分をまかなっているため、地上へ降りて水を飲む姿はあまり見られません。森林火災や干ばつなどでユーカリが乾燥すると、仕方なく水を求めて移動する場合もありますが、基本的にはユーカリを食べることで“完結”している動物といえるでしょう。

木の上で眠るメリットって?

コアラはほとんどを木の上で過ごします。睡眠も同じ場所です。そこには以下のような安全面と快適性の理由があると考えられます。

  • 地上よりも捕食者に襲われにくい
  • 幹や枝を活用して姿勢を保ちやすい
  • 日差しや風を避け、体温調節を行いやすい
  • 主食となるユーカリの葉が近い

このようにコアラの木の上での生活は消極的に見えて、実は合理的でもあるのです。

コアラの子育てはどうしてる?

有袋類のコアラがどのように子育てを行うかは、カンガルーなどとも似ている部分がありますが、さらにユニークな点も加わります。

妊娠期間が短い?生まれたてはどんな姿?

コアラの妊娠期間は約35日ほどと、他の哺乳類と比べると極めて短いものになっています。生まれてくる赤ちゃんは体長2センチほどで、毛もなく、目も開いていません。

コアラの赤ちゃんは出産直後に母コアラの袋へ自力で移動し、しばらくは袋の中で保護された状態を保ち、やがて外の世界へ顔を出すようになっていきます。

パップがポイント!腸内細菌を受け継ぐしくみ

コアラがユーカリを食べるためには、ユーカリの毒素を分解する腸内細菌が必要です。ここで重要になるのが、母コアラの「パップ」と呼ばれる半消化状態の排泄物です。

パップを食べることで子コアラは毒素分解に必要な細菌を受け取ります。コアラは生まれた時からユーカリを消化できるわけではなく、このステップがないとユーカリを食べられないのです。

パップの存在が、コアラ独自の食生活を次世代へつなぐ大切な役割を果たしているわけですね。

自立までの流れ

袋から出始めた子コアラは、母親の背中にしがみついたり、枝をよちよちと歩きながら周囲の世界に慣れていきます。生後6ヵ月あたりで袋の外をメインに行動し、1〜3年ほどかけて母親のそばで学び、自立へと進むような流れです。

この間、ユーカリの選び方や木の上での生活のコツを学んでいくため、母コアラとの関係は生存に直結するといえるでしょう。

コアラの生息地と天敵

コアラはオーストラリア東部を中心に分布しています。そこには彼らが必要とするユーカリ林が広がっており、コアラはその恵みをうけて生活を続けてきました。

コアラの主な生息地

コアラはオーストラリア東部を中心に分布しています。クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州の沿岸地域に広く生息しており、そこには彼らが必要とするユーカリ林が広がっています。

コアラの生息地として重要な条件は以下のとおりです。

  • ユーカリの森が広がる温暖な気候帯
  • 適度な湿度がある地域
  • 樹齢の高いユーカリの木がある場所
  • 水源へのアクセスが容易な場所
  • 適度に開けた森林

これらの条件が揃った環境で、コアラは生活を続けています。

コアラの天敵

野生環境において、コアラの天敵は比較的少ないといわれています。しかし完全に安全というわけではなく、主な天敵として以下が挙げられます。

  • ディンゴ(野生犬):特に地上に降りたコアラを襲う
  • オオワシ:幼いコアラを狙う
  • 大型のフクロウ:夜間に活動するコアラを襲うことがある
  • ヘビ:木の上で休むコアラを襲うケースも報告

これらの天敵から身を守るためコアラは主に木の上で生活し、必要以外は地上に降りることを避ける傾向があります。また、幼いコアラは母親の保護下で過ごすことで、捕食者からの危険を最小限に抑えています。

なぜ絶滅危惧種?コアラを取り巻く危機と保護活動

観光客から愛されるコアラですが、近年は絶滅の危機にさらされていることが報じられています。具体的にはどのような要因が背景にあり、どのような保護活動が行われているのでしょうか。

レッドリスト入りの背景とは

コアラは地域によっては国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種」と評価されています。これは野生のコアラが大幅に減少していることを示し、下記のような理由が重なっているのが現状です。

  • 森林伐採や農地転用により生息域を追われる
  • 気候変動や大規模火災によってユーカリ林の縮小している
  • 生息地を追われた移動中コアラが捕食者や交通事故などにあう

こうした問題が絡み合って、コアラの未来を脅かしているといえます。

支援プロジェクトや保護区の取り組み

オーストラリア政府や環境団体、さらには動物園や保護施設などが手を取り合い、コアラを守るためのプロジェクトを展開しています。

  • 傷ついたコアラの保護とリハビリ
  • 森林火災後の植林やユーカリ林の再生
  • 国内外からの募金や寄付を集めるキャンペーン

具体的には、コアラの頭数を継続的に調査したり、保護区で繁殖を支援したりと、長期的な視点で動く活動が増えてきました。

あののんびり感は本当?コアラの性格と知能

見た目にも動きにも「ゆるさ」を感じるコアラですが、実際のところ性格や賢さはどうなのでしょうか。コアラの行動や性格、知能について解説していきます。

コアラの性格の特徴

コアラはゆっくり、のんびりなイメージがありますよね。コアラが1日の多くを寝て過ごすのは、先述のとおりユーカリの消化に時間とエネルギーがかかるからであり、また地上に降りる危険を減らすメリットがあるからでもあります。

といっても、まったく争いをしないわけではありません。オス同士のテリトリー争いでは鳴き声や体格を示して威嚇をする場面もあるようです。コアラの性格の特徴としては以下のとおりです。

  • 単独行動を好む傾向が強い
  • なわばり意識が強い
  • ストレスに敏感

このような性質は、限られたエネルギーを効率的に使うための進化の結果といえます。特に、他の個体との無用な接触を避けることで、貴重なエネルギーを温存しているのです。

コアラの記憶力や学習能力は?

コアラの脳は、その体サイズに対して非常に小さいことが特徴的です。成体コアラの脳の重さはわずか約19グラムで、体重の約0.2%しかありません。さらに、コアラの脳は表面が滑らかで、他の多くの哺乳類がもつような複雑な「しわ」がほとんどありません。

そのため知能としては最低限であり、木から落ちることもあります。また動物園ではユーカリを「枝をつけて」コアラに渡しています。コアラは枝のないユーカリの葉をユーカリと判断できないからです。

コアラは生存に必要な基本的な学習能力はもっていますが、その能力は非常に限定的で特化している、といっていいでしょう。

コアラに関する素朴な疑問

ここからは、コアラについてよく聞かれる疑問点をQ&A形式でまとめました。

Q1:抱っこできる場所はあるの?

コアラを抱っこできるのはオーストラリアのクイーンズランド州、西オーストラリア州、南オーストラリア州の3州のみです。先述のとおりコアラは繊細でストレスに敏感な性格のため、オーストラリアではコアラとの触れ合いに関して厳しい規制が設けられています。

コアラにふれあう際の注意点は以下のとおりです。

  • 1日のふれあい時間に制限がある
  • コアラの様子(体調や気分)を最優先する
  • 専門スタッフの指示に従う必要がある
  • 予約が必要な場合が多い

なお日本の動物園では、見学のみとなっているのが一般的な対応となっています。

Q2:寿命はどれくらい?

コアラの寿命は、野生と飼育下で大きく異なります。環境や食事、ストレス要因などが寿命に影響を与えるためです。寿命の目安としては以下のとおりです。

  • 野生での平均寿命:10~12年
  • 飼育下での平均寿命:15~18年
  • 最長記録:21年以上

寿命に影響を与える要因として生息環境の質、食物の安定供給、疾病の有無などが重要となります。特に近年は、生息地の減少や気候変動の影響により、野生での寿命が短くなる傾向があります。

Q3:繁殖期っていつ頃なの?

地域差はありますが、おおむねオーストラリアにおける春から夏にかけて(8月から2月まで)繁殖期が続くことが多いといわれます。繁殖期のコアラは普段より活発に活動し、特徴的な鳴き声で異性を呼び寄せます。

メスは2年に1回程度の出産が一般的で、子育ては完全に母親が担当。子育て期間中は母子の絆が非常に強く、赤ちゃんコアラの成長に不可欠な期間となっています。

まとめ

コアラはユニークな消化能力により毒を含むユーカリの葉を主食とし、限られたエネルギーを最大限活かすために長い睡眠時間を過ごす、こんな生活スタイルを確立してきました。有袋類ならではのパップや袋での子育ても含め、じつに魅力的な生態を持ち合わせています。

一方、森林火災や開発によるユーカリ林の縮小、外来捕食者の増加など、コアラの生存を脅かす要因は増えています。かわいらしいだけでなく、深刻な危機にも直面している動物だといえるでしょう。

もしオーストラリアへ足を運ぶ機会があれば、コアラの暮らしぶりや保護活動に注目してみると、コアラへの理解がぐっと深まるはずです。生き物たちが安心して暮らせる環境を守る意識を高めるためにも、まずはコアラという存在に興味を持ち、その背景を知ることが大切かもしれません。



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