アオジタトカゲの舌はなぜ青い?飼育方法や初心者にも人気の理由

2024.09.27

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「アオジタトカゲ」はその名のとおり、青い舌が特徴の爬虫類です。寸胴体型に短い手足を持つ独特な姿がツチノコにも似ているともいわれています。

穏やかな性格で、比較的丈夫で長生きなため、初心者でも安心して飼育できるペットとしても人気があります。

この記事ではアオジタトカゲの基本情報や人気の種類について解説します。飼育方法も詳しく説明しますので、これからアオジタトカゲを飼ってみたいと思う方もぜひお読みください。

アオジタトカゲの基本情報

アオジタトカゲの基本情報

ここではアオジタトカゲの生態や寿命などの基本情報について解説します。

生息環境や生態

アオジタトカゲは爬虫綱有鱗目トカゲ科アオジタトカゲ属に分類される爬虫類で、主にオーストラリア大陸全域に生息しています。昼行性で、森林から砂漠、さらにはオーストラリアの都市部でも見かけることができるほど、多様な環境に適応しています。

体長は30~60cmほどで、体形は太めで、手足は短く、全体的に褐色や灰色の地色に濃い色の縞模様が特徴です。食性は雑食性で、昆虫や小動物から果実までさまざまなものを餌としています。

寿命

アオジタトカゲは、適切な飼育環境下では比較的長寿のトカゲとして知られています。平均寿命は約15年ですが、丁寧に世話をすれば20年近く生きる個体も多くいます。

アオジタトカゲの舌はなぜ青い?

アオジタトカゲの舌はなぜ青い?

アオジタトカゲの特徴的な青い舌の役割をご存知でしょうか。

アオジタトカゲは危険を感じると、口を大きく開けて鮮やかな青い舌を露出させます。この予想外の色彩は多くの捕食者を驚かせ、攻撃をためらわせる効果があります。自然界では青い色が毒性のある生物に多く見られることから、この舌の色は捕食者に毒があると錯覚させる役割も果たしています。

さらにこの青い舌には、紫外線を反射する性質もあります。鳥類など、紫外線を認識できる捕食者に対してより効果的な防御となります。

防御機能だけでなく、同種間でのコミュニケーションや繁殖期のパートナー選びにも役立っている可能性があるともいわれています。このように、アオジタトカゲの青い舌は、複数の重要な機能を持つ進化の産物なのです。

アオジタトカゲの人気の種類(モルフ)

アオジタトカゲには全11種類が存在し、大きくインドネシア産とオーストラリア産に分けられます。

一般的に、オーストラリア産の方が大型で、インドネシア産はやや小型です。ここでは、特に人気の高い4種類を紹介します。

キタアオジタトカゲ

キタアオジタトカゲの性格は温和で扱いやすく、丈夫で飼育が容易なため、初心者におすすめです。人工飼料への餌付きも良好です。寒暖差に強いという特徴もあります。

原産地 オーストラリア北部
サイズ 大型(50~60cm)
体色・特徴 褐色や灰色の地に黒い横縞
目の後ろの黒線が不明瞭

オオアオジタトカゲ

オオアオジタトカゲは、その名のとおり、アオジタトカゲのなかでも最大級の種類です。おとなしい性格ですが、大型のため飼育難易度は中程度とされています。食欲旺盛で成長が早く、広いスペースを必要とします。

原産地 オーストラリア
サイズ 最大級(60cm以上)
体色 褐色や灰色の地に黒い横縞
体が太く、頭部が大きい

ヒガシアオジタトカゲ

ヒガシアオジタトカゲ

ヒガシアオジタトカゲは美しい体色や穏やかな性格から人気がありますが、他のモルフに比べて流通量が少なく、特定の色合いや模様を持つ個体は希少価値が高いです。体色のバリエーションが豊富で、胎生で10~20匹の子を産むことも特徴です。

原産地 オーストラリア東部
サイズ 中型(40~55cm)
体色 褐色の地に黒い横縞
目の後ろに明瞭な黒線

キメラアオジタトカゲ(タニンバールアオジタトカゲ)

キメラアオジタトカゲはやや神経質な性格で湿度管理にも注意が必要なため、中級者向けとされています。希少性が高く、その独特の外見からコレクターに特に人気があります。飼育には適切な環境管理と経験が求められますが、その美しさと珍しさから、多くの爬虫類愛好家を魅了しています。

原産地 インドネシア・タニンバール諸島
サイズ 小型(30~40cm)
体色 オレンジや赤みがかった体色
独特の模様とコントラスト

アオジタトカゲが初心者でも飼いやすい理由

アオジタトカゲが初心者でも飼いやすい理由

アオジタトカゲは、初心者にとっても飼育しやすい爬虫類として知られています。その主な理由は以下のとおりです。

  • 丈夫な体質
  • 雑食性で餌付けが容易
  • ハンドリングが可能
  • 穏やかな性格
  • 飼育環境の設定が比較的簡単

丈夫な体質

アオジタトカゲは、寒暖差のある多様な環境で生活しているため比較的丈夫です。オーストラリアの森林や砂漠、さらには都市部など、さまざまな場所に適応して生息していることから、環境の変化にも強い特性があります。

飼育環境の温度や湿度が多少変動しても耐えられるため、初心者でも比較的安心して飼うことができます。

雑食性で餌付けが容易

アオジタトカゲは雑食性で、昆虫や小動物から野菜、果物まで幅広い食材を摂取します。人工飼料にも容易に餌付き、生き餌を与えなくても健康を維持することが可能です。

ペット用の専用フードが市販されているため、初心者でも手軽に給餌ができます。

ハンドリングが可能

ハンドリングとは、爬虫類を手で扱ったり触れたりすることです。アオジタトカゲは基本的にハンドリングが可能です。よく人に慣れ、飼い主の手の上でくつろいだり、体を撫でられることを好む個体もいます。このような直接的な触れ合いは、アオジタトカゲとの絆を深める良い機会となります。

ただし、ハンドリングをおこなう際は、アオジタトカゲの体調や気分を考慮し、強制せずに慎重におこなうことが重要です。初めてのハンドリングは短時間から始め、徐々に慣れさせていくことをおすすめします。

穏やかな性格

アオジタトカゲは、動きが緩慢で平和的な性格を持っています。攻撃性が低く、ストレスを感じることが少ないため、初心者でも安心して飼育できます。この穏やかな性格は、見ていて癒されるペットとしての魅力を高めています。

飼育環境の設定が比較的簡単

他の爬虫類に比べて、飼育環境の設定が比較的簡単です。適切な温度と湿度を保てば、特別複雑な環境を用意する必要がありません。

基本的な飼育環境を整えることで、アオジタトカゲは健康に過ごすことができます。ただし、適切なケアは必要不可欠です。飼育環境については、このあと詳しく解説します。

アオジタトカゲの飼育方法

アオジタトカゲの飼育方法

アオジタトカゲを健康に飼育するためには、飼育環境や餌、温度管理などに注意を払う必要があります。

飼育環境

アオジタトカゲの飼育環境を整えるには、いくつかの重要な要素に注意を払う必要があります。

ケージのサイズは成体の場合、ストレスなく活動するためには、横幅90cm×奥行45cm×高さ45cm程度が推奨されます。

床材にはココファイバーやサンドマット、新聞紙などが考えられますが、新聞紙に使われているインクは生体に悪影響を与える可能性があるため、できるだけ避けることが望ましいとされています。

隠れ家を用意し、安心して休める場所を複数設置しましょう。清潔な水を入れた浅い水入れも常設し、水は毎日交換して清潔に保つことが大切です。

餌の種類と給餌方法

アオジタトカゲは雑食性で、バランスの取れた多様な食事を必要とします。野菜や果物、昆虫、小動物などさまざまな食べ物を摂取します。

成体の場合、週に2~3回の給餌で十分ですが、幼体は毎日給餌する必要があります。野菜や果物は細かく刻んで与え、昆虫類はコオロギやミールワームなどを適量与えます。市販のペットフードも利用可能で、これらを組み合わせることで栄養バランスの良い食事を提供できます。

過剰な給餌には注意し、適切な量を守ることが大切です。

温度・湿度管理

アオジタトカゲの健康を維持するためには、適切な温度と湿度の管理が不可欠です。以下の温度を保つように心がけましょう。

  • 昼間は30~35℃程度
  • 夜間は20~25℃程度

特に、バスキングスポット(日光浴場所)では35~40℃程度の温度を確保し、好みの温度を選んで体温調節ができるようにケージ内に温度勾配をつけることも欠かせません。

湿度は50~60%程度が適切で、乾燥しすぎないよう注意が必要です。温度計と湿度計を設置して定期的にチェックし、必要に応じて調整をおこないましょう。

紫外線照射について

紫外線、特にUVB照射はアオジタトカゲの健康維持に欠かせません。

UVB光は、体内でビタミンD3を合成するのに必要不可欠で、これが不足すると骨の形成に問題が生じる可能性があります。適切なUVB照明を設置し、12時間のサイクルで照射することが推奨されます。UVB電球は時間とともに効果が低下するため、半年から1年ごとに交換する必要があります。

自然光も有効ですが、ガラス越しではUVBがカットされてしまうため、直接浴びられる環境を整えましょう。

アオジタトカゲを購入する前に知っておきたいこと

アオジタトカゲを購入する前に知っておきたいこと

アオジタトカゲの基本的な飼育方法について理解できたところで、いよいよ購入を検討する段階です。しかし、実際に購入する前に知っておくべき重要な情報がいくつかあります。

ここでは、アオジタトカゲの価格帯や入手方法、ワイルドキャプチャーとキャプティブブリードの違い、そして信頼できるブリーダーやショップの選び方について詳しく解説します。

これらの知識を身につけることで、健康的で適切な個体を選び、安心して飼育生活を送ることができるでしょう。

価格帯と入手方法

アオジタトカゲの価格帯は種類や個体の状態によって異なりますが、一般的に以下のような範囲になります。

  • 一般的な種類……15,000円~30,000円
  • 希少な種類……30,000円~100,000円以上

入手方法としては、専門ペットショップや爬虫類専門ブリーダーがあります。爬虫類の展示販売を目的としたイベントも全国各地で開催されているので、チェックしてみるのもおすすめです。

ワイルドキャプチャー(WC)とキャプティブブリード(CB)の違い

ワイルドキャプチャー(WC)とキャプティブブリード(CB)は、アオジタトカゲの入手方法を示す重要な用語です。

項目 ワイルドキャプチャー(WC) キャプティブブリード(CB)
定義 野生で捕獲された個体 飼育下で繁殖された個体
特徴 野生の遺伝子を持つ
ストレスや病気のリスクが高い
人に慣れている
健康管理がしやすい
飼育難易度 比較的難しい 比較的容易

ワイルドキャプチャーは野生の遺伝子を持つため、より自然な行動が観察できるのが魅力ですが、寄生虫や病気を持っている可能性も高いため、購入後の健康管理により注意が必要です。初心者の方はキャプティブブリードの個体を選ぶことをおすすめします。

どちらの場合も、信頼できるブリーダーやショップから購入し、適切なケアをおこなうことが重要です。

信頼できるブリーダーやショップの選び方

信頼できるブリーダーやショップは、爬虫類の健康を最優先に考え、専門知識と経験に基づいた責任ある販売をおこないます。

以下のポイントをチェックしましょう。

  • 適切な広さと設備を備えたケージで飼育している
  • 生体に負担をかけない展示方法を取っている
  • 販売中の生体の健康状態が良好
  • 取り扱う爬虫類の種類ごとの飼育方法について詳しく説明できる
  • 販売後のサポートが充実している
  • 生まれて間もない個体の販売を控え、健康状態の安定した生体のみを販売する

アオジタトカゲがかかりやすい病気と対処法

アオジタトカゲがかかりやすい病気と対処法

飼育下では特定の病気にかかりやすい傾向があります。ここでは、アオジタトカゲが特にかかりやすい病気とその対処法について解説します。

実際に症状が見られた場合は、速やかに爬虫類専門の獣医師の診察を受け、適切な治療をおこなうことが重要です。

クル病

クル病は、ビタミンDの不足や、カルシウムとリンのバランスの崩れによって引き起こされる骨の病気です。主な症状として、骨の軟化や変形、成長の遅れなどがあります。

適切なUVB照射とバランスの取れた食事が重要です。症状が見られた場合は、すぐに爬虫類専門の獣医師に相談し、適切な治療を受けることが必要です。

代謝性骨疾患

代謝性骨疾患は、クル病と類似していますが、より広範囲の栄養不足や代謝の問題によって引き起こされます。主な症状には、骨の脆弱化、歩行困難、食欲不振などがあります。

適切な栄養補給とUVB照射が予防には不可欠です。

呼吸器疾患

呼吸器疾患は、不適切な温度や湿度管理、ストレスなどが原因で発症することがあります。主な症状には、鼻水、くしゃみ、呼吸音の変化などがあります。

適切な温度や湿度管理をおこない、清潔で静かな環境を保つことでストレスを和らげることができます。これらの対策により、アオジタトカゲの呼吸器疾患のリスクを抑えることができます。

まとめ|アオジタトカゲを飼育したい人は特徴をしっかり知っておこう

アオジタトカゲは、その魅力的な外見と比較的飼いやすい性質から、爬虫類初心者にも人気のペットです。寿命が長く、適切な環境で飼育することで20年近く生きることもあります。そのため、長期的な視点を持って飼育に臨むことが大切です。

初心者にとっても比較的飼いやすい爬虫類ですが、特有の特徴や必要なケアについてしっかり理解しておくことが重要です。適切な飼育環境の整備、バランスの取れた食事、健康管理、信頼できるブリーダーやショップからの購入など、多岐にわたる要素がアオジタトカゲと楽しい時間を過ごすためには欠かせません。

この記事で紹介した知識を、アオジタトカゲとの生活にお役立てください。



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