アラスカンマラミュートの飼い方とは?特徴やハスキーとの違いも解説
2023.08.02
- 目次
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- アラスカンマラミュートとは?
- アラスカンマラミュートの特徴
- 性格
- 被毛
- 体高・体重
- 平均寿命
- アラスカンマラミュートとシベリアンハスキーの違い
- アラスカンマラミュートの飼い方
- 力が強く巨大になるので意外と危険性あり
- 暑さ対策は必須
- 広い飼育スペースが必要
- 散歩の時間は毎日1〜2時間必要
- 食後すぐに運動させない
- アラスカンマラミュートのお手入れ方法
- アラスカンマラミュートがかかりやすい病気とは?
- 胃拡張・胃捻転
- 股関節形成不全
- 熱中症
- 脱毛症X
- アラスカンマラミュートの子犬を迎えるには?
- ブリーダーまたは専門の犬舎からのみ入手可能
- 里親から子犬を迎えることは難しい
- まとめ:アラスカンマラミュートは飼手を選ぶ
「シベリアンハスキー」と聞いて、どんな外見の犬か想像がつく方は多いと思います。
しかし、ハスキーに似ているとして最近認知度が高まってきた「アラスカンマラミュート」という犬種をご存知でしょうか。
この記事では、アラスカンマラミュートの特徴やシベリアンハスキーとの違いをはじめ、アラスカンマラミュートの飼い方やお手入れの方法、かかりやすい病気、入手方法も解説します。
なかなか日本では見かけない、珍しい犬種です。ぜひ参考にしてください。
アラスカンマラミュートとは?
「アラスカンマラミュート」とは、豊かな骨量と筋肉隆々で太い手足が特徴の大型犬です。
祖先はシベリア原産と考えられており、「北極のソリ犬として最古の犬種のひとつ」といわれています。
現代につながるアラスカンマラミュートは、アラスカ西部のイヌイット・マラミュート族がソリ引きや狩猟、漁業に使用していた犬とされています。
人なつこい性格であることから、近年では「コンパニオン・ドッグ(伴侶犬)」として人気が出てきました。
アラスカンマラミュートの特徴
アラスカンマラミュートの大まかな特徴を表にまとめました。
アラスカンマラミュートの特徴
性格 | 穏やかで人なつこい |
---|---|
被毛 | 分厚い 色はライトグレー、ブラック、セーブル、レッドなど |
体高・体重 |
オス 体高:63.5cm前後 体重:38kg前後 メス 体高:58.5cm前後 体重:34kg前後 |
平均寿命 | 11年前後 |
項目ごとに解説します。
性格
穏やかで人なつこく社交的で、飼い主である人間や知っている犬とじゃれ合うのが大好きです。
体力が豊富で、運動不足になるとストレスを抱えてしまいます。
被毛
寒冷地であるシベリア原産の犬種らしく、被毛は体温を下げないために分厚くなっています。
色はライトグレー、ブラックなどの黒系から、セーブル、レッドなどの茶系に混合色までさまざまです。ホワイトの単色も存在します。
体高・体重
体高とは、人間の身長に当たるもので、地面から首と背中の境目辺りまでの高さのことです。
アラスカンマラミュートの体高は、オスが63.5cm前後、メスが58.5cm前後あり、大型犬に分類されます。体重はオスが38kg前後、メスが34kg前後と、10歳の子ども並みです。
大型犬で力が非常に強く、飛びかかれると危険なのでしっかりとしたしつけが必要です。
平均寿命
寿命は11年前後とされていますが、日本の高温多湿な環境はアラスカンマラミュートにはあまり向いていません。しっかりした健康管理で長生きさせてあげましょう。
アラスカンマラミュートとシベリアンハスキーの違い
アラスカンマラミュートは、シベリアンハスキーと「よく似ていて見分けがつかない」ともいわれます。
アラスカンマラミュートとシベリアンハスキーの違いを、表にまとめました。
犬種 | アラスカンマラミュート | シベリアンハスキー |
---|---|---|
大きさ | 体高58〜71cm 体重39〜56kg |
体高50〜60cm 体重15〜27kg |
耳の位置 | やや低い | 比較的高い |
しっぽ | 巻き尾 | 垂れ尾 |
目の色 | ダークカラーのみ | 青、黒、茶系、オッドアイなど |
一番の違いは体の大きさで、アラスカンマラミュートの方が一回り大きくなります。
耳は、シベリアンハスキーは比較的高い位置で耳と耳の距離が近く、アラスカンマラミュートは耳と耳が離れていてやや低い位置にあります。
しっぽは、シベリアンハスキーは垂れていますが、アラスカンマラミュートはくるんとした巻き尾です。
目の色も、シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートは違います。シベリアンハスキーは一番有名な青の他に、黒や茶色、オッドアイなどがあります。それに対して、アラスカンマラミュートはダークカラーのみです。
アラスカンマラミュートの飼い方
人なつこく愛情深い性格のアラスカンマラミュートは、犬好きの方にとって、犬を飼う醍醐味が感じられる犬種かもしれません。
しかし、寒冷地原産で、大型で力も強いアラスカンマラミュートを日本の一般家庭に迎えるには、かなりの準備と覚悟が必要です。
アラスカンマラミュートの飼い方は、次のとおりです。
- 力が強く巨大になるので意外と危険性あり
- 暑さ対策は必須
- 広い飼育スペースが必要
- 散歩の時間は毎日1〜2時間必要
- 食後すぐに運動させない
順に解説します。
力が強く巨大になるので意外と危険性あり
アラスカンマラミュートの優しい顔立ちは、犬好きにはたまらない魅力のひとつでしょう。
しかし、大型犬であるアラスカンマラミュートは、成犬ともなると平均的な女性の股下を超える体高も存在し、しかも非常に力が強いです。
つい興奮してお互いに怪我をすることも考えられるので、「待て」「お座り」などを覚えさせ、散歩の際はリードを引っ張らないようトレーニングしておく必要があります。
暑さ対策は必須
寒冷地原産であるアラスカンマラミュートは、寒さをしのぐための分厚い被毛に覆われ、高温多湿である日本の夏が苦手です。
熱中症にならないように、エアコンを効かせた涼しい室内で快適に過ごせるようにしましょう。
散歩は暑い日中は避け、早朝や夜の時間帯におこなってください。
広い飼育スペースが必要
アラスカンマラミュートは、シベリアンハスキーよりも一回り大きい大型犬です。
屋内屋外ともに、広い飼育スペースを確保できることが求められます。
運動不足はストレスの原因になり、健康を阻害したり、いきなり飛びかかるような問題行動を起こしやすくなるので注意しましょう。
散歩の時間は毎日1〜2時間必要
アラスカンマラミュートはソリ犬だったこともあり、豊富な体力と持久力を兼ね備えていて、かなりの運動量が必要です。
できれば毎日1〜2時間以上は散歩の時間を取り、ときにはドッグランで、リードなしで思い切り走らせてあげてください。
力が強いので、子どもだけで散歩するのは危険がともなうので避けましょう。
食後すぐに運動させない
「人間も食べてすぐに運動するのは体に悪い」といわれますが、アラスカンマラミュートの場合、食後にすぐ運動させると「胃捻転(いねんてん)」という病気を引き起こすことがあります。
どか食いも胃捻転の原因になるので、落ち着いて食事ができる環境を整えてあげましょう。
アラスカンマラミュートのお手入れ方法
寒冷地の犬だったアラスカンマラミュートは、下毛と上毛のダブルコートで被毛が分厚い犬種です。
放っておくと体臭の原因や、毛がフェルト化して痛みや皮膚炎の原因になります。換毛期には膨大に毛が抜けるので、しっかり手入れしてあげましょう。
アラスカンマラミュートのお手入れ方法は、次のとおりです。
- 1日1回以上のブラッシング
- 月1〜2回のシャンプー
- トリミング
高温多湿の日本では、皮膚疾患を起こさないためにもこまめなブラッシングが欠かせません。1日1回以上ブラッシングして、皮膚に異常がないか確認してあげてください。
抜け毛対策として、月に1〜2度はシャンプーをしてあげましょう。汚れやノミ・ダニなども除去できるため皮膚炎の防止になり、毛並みもよくなります。
トリミングして毛を短くカットするのも、皮膚炎を予防したり熱中症を防いだりする効果があります。
大型犬なので、家でのお手入れには限界があるかもしれません。そんなときはプロに任せましょう。アラスカンマラミュートについて知識が豊富なトリマーへの依頼をおすすめします。
アラスカンマラミュートがかかりやすい病気とは?
アラスカンマラミュートを迎えるなら、かかりやすい病気について知っておくことも必須です。
アラスカンマラミュートが気をつけたい病気は、次のとおりです。
- 胃拡張・胃捻転
- 股関節形成不全
- 熱中症
- 脱毛症X
1つずつ解説します。
胃拡張・胃捻転
胃拡張・胃捻転は、大型で胸の深い犬種がなりやすい病気で、胃が拡張してねじれてしまうことで起きるものです。
ねじれた胃の影響で臓器の血流が途絶えてショック状態になり、急速に死に至ることもある恐ろしい病気です。発症したらすぐに治療しなければなりません。
食後に激しい運動をすることで、急速に胃が膨らんで発症しやすいとされています。食後すぐに運動させることは避けましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節が正常に発達せずに痛みや歩行異常が見られる病気で、原因ははっきりとは解明されていません。
大型犬は遺伝的に起こりやすいので、親犬が股関節形成不全になっていないか確認しておきましょう。成長期の栄養不足や運動不足、また、過剰な栄養摂取も原因のひとつといわれています。
熱中症
前述のとおり、アラスカンマラミュートは寒さには強いですが、暑さは非常に苦手です。
4月や5月などは人間ならエアコンなしでも問題ありませんが、アラスカンマラミュートはこの頃からもう熱中症が出始めるので注意しましょう。
設定温度は個体によって違い、「犬がパンティング(ハァハァという荒い呼吸)しない程度」と言われています。真夏は28℃より低く設定する必要があるかもしれません。
エアコン以外の対策としては、窓を開けて風を通したり、ペット用のクールマットを敷いたり、水を十分に用意しておいたりするのがおすすめです。
脱毛症X
脱毛症Xは、犬の脱毛症で原因不明とされています。毛周期が停止して胴体部分に左右対称の脱毛を起こす病気で、かゆみはありません。
2〜5歳のオスの若い成犬に発生しやすい脱毛症で、アラスカンマラミュートやシベリアンハスキー、プードル、チャウチャウなどがかかりやすい犬種です。
アラスカンマラミュートの子犬を迎えるには?
アラスカンマラミュートを「どうしても我が家に迎えたい!」という場合はどうすればいいのでしょうか。
アラスカンマラミュートの子犬を迎える方法は、次の2つです。
- ブリーダーまたは専門の犬舎からのみ入手可能
- 里親から子犬を迎えることは難しい
順に解説します。
ブリーダーまたは専門の犬舎からのみ入手可能
アラスカンマラミュートは、ペットショップで見かけることはほとんどありません。
一般的に入手が難しい犬種で、専門のブリーダーや犬舎からの迎え入れ、または輸入のみになります。
日本にもアラスカンマラミュート専門の犬舎があるので、問い合わせてみてください。
里親から子犬を迎えることは難しい
犬種によっては、里親から子犬を譲ってもらえることがあります。
ただし、 里親から子犬を迎えるのは難しいです。専門のブリーダーや犬舎以外の里親が全国的にも少なく、希少犬種であるためです。
価格は30〜100万円が相場で、バラつきがあります。ペットとして飼う場合は高くなることはあまりありませんが、ドッグショーに出せる場合は100万円近くかかることもあります。
まとめ:アラスカンマラミュートは飼手を選ぶ
アラスカンマラミュートは、シベリア原産の北極のソリ犬として最古の犬種のひとつといわれ、アラスカのイヌイットがソリ引きや狩猟に利用していました。
筋肉隆々の大型犬でありながら穏やかで人なつこいとして、近年日本でも「飼いたい」という人が増えています。しかし、初心者向きではないので注意してください。
アラスカンマラミュートの特徴をまとめます。
性格 | 穏やかで人なつこい |
---|---|
被毛 | 分厚い 色はライトグレー、ブラック、セーブル、レッドなど |
体高・体重 |
オス 体高:63.5cm前後 体重:38kg前後 体重:34kg前後 |
平均寿命 | 11年前後 |
ペットショップで見かけることはほとんどないので、入手が難しい希少な犬種です。
寒冷地原産で高温多湿の日本の環境向きではないこと、運動が大好きな大型犬で、飼育スペースの確保やたっぷりの散歩につき合える人が限られることなども要因になっています。
飼い主に大喜びでじゃれてくるとても可愛い犬種ですが、アラスカンマラミュートが快適に幸せに過ごせる環境が作れるか、慎重に判断して迎えてください。